サイコバニーVS屋上のチェーンスモーカー

あきかん

ウミガメのスープ

「姫路さん好きです。付き合ってください」


 と、男子が告白をした。それを聞いたクラスの男子達は拍手喝采でその男子を称えた。

 なぜクラスの男子はその男の子を称えたのか。それを考えてみて欲しい。

 今回のゲームはウミガメのスープ。凡庸なる作者よ、質問をどうぞ。


「姫路さんは女の子ですか?」

「いいえ」


 答えに結び付くような質問ではない。しかし、詳しく答えておこう。

 姫路りしゅう。性別は男。嘘も百回つけば真実になる、という諺のとおり姫路りしゅうは自称姫と名乗り続けていつしか誰しも彼を姫と呼称した。故に、姫に男が告白することはあり得ない、とは言わないまでも大衆の面前で行われるものでもなく、またそれを称えられるものでもなかった。

 しかし、真実は真逆の様相を見せていた。クラスの男子はこの姫路りしゅうという男の本性を知っているからだが、それはまた別の質問で回答することになるだろう。


「クラスの女子は称えましたか?」

「いいえ」


 姫路りしゅうという男子は決して女子の人気がなかったわけではない。しかし、彼の本性を知っている女子は顔をしかめる。故に、彼に告白した後の事態を察したクラスの女子は迷惑そうな顔をして今回の告白を聞いていた。


「姫路りしゅうは今まで告白されたことはありますか?」

「はい」


 姫路りしゅうは女子に三回、男子に告白されたのは今回が初めてだった。しかしながら、姫路りしゅうの暴挙が知れ渡っている今は告白するような人間は今回の男子のような変わり者しかいないだろう。それに性別は関係ない。


「告白したのが男子であることは関係ありますか?」

「いいえ」


 前途したように、姫路りしゅうに告白する行為が称えられるのに性別は関係ない。


「姫路りしゅうは危険人物ですか?」

「はい」


 姫路りしゅうは危険人物である。その渾名はサイコバニー。学校一の要注意人物として知られている姫路りしゅうの伝説は多い。

 曰く、入学早々に学校の頂点に立ったらしい。

 曰く、悪徳教師を退職に追いやったらしい。

 誰もが一目置く男。それが姫路りしゅうである。


「姫路りしゅうは危険人物であり、それ故に彼に告白した男子は称えられた」

「正解」

 

 答えはわかった。しかし、姫路りしゅうという男がどれだけ危険な人物かわからない。

 それについては、姫路りしゅうに告白した男の物語でわかるので、一旦ここでゲームを終えるとしよう。

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