第7話

「いや、まだ引き取ると決まったわけじゃあない」

 すぐにじいちゃんが、あわてて手を振る。

だが先生は、じいちゃんに向かって微笑むと、

「でも、見て!

 アオイくんは、もうすっかり…そのつもりになっている

 みたいですよ」

少年の方を指し示す。

老人は、自分の孫を見下ろす。

赤ちゃんの側で、少年はじぃっと期待するように、老人を見上げ

ている。

その瞳が、あまりにまっすぐだったので…

「え~っ、仕方がないなぁ」

思わず苦笑いを浮かべる。

「でも…こんなジジイが、一から子育てなんて!」

さすがに、この歳では無理だろ?

まだ渋る態度をみせるけれども。

「ねぇ、ボク、手伝う!

 なんでもするよ!

 大きな声で、じいちゃんに向かって言う。

「あっ、しぃっ!

 赤ちゃんが、起きてしまう」

老人はあわてて、声をひそめる。

「あっ、そうだった」

アオイはあわてて、口に手を当てる。

「まいったなぁ~」

ボリボリと、老人は頭をかく。

孫の言いなりになって、何でもしてやりたいのだが…

あいにくと、女手がいない。

さすがに、こんなじいさんに、赤ちゃんなんて、ムリだろう…

先生は、ポンポンと老人の肩に手をのせた。

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