レスは不倫する理由になりますか?♡諒哉編♡
三愛紫月
必要ない
「もうさ、マジ。嫁は抱けないよなーー」
「わかる、わかる。おばさんだし。お母さんなんだよ」
「だよなーー、あれ諒哉は?子供まだなのか?」
久しぶりに飲む同級生との会話は嫁を抱けない話でいつも盛り上がる。そして毎回、俺に子供は?と聞いてくるのだ。
「
「そう言えば亜香里ちゃん。子供は、どっちでもいいって言ってたもんな」
「でもさ、そんな事言ってたらあっという間に40歳回って。子供産めなくなるぞ」
「そうそう。年老いたママじゃ子供が可哀想だって」
「確かにそうだよ。話しろよ、諒哉」
「あぁ」
ここにいる皆は、もう子供が中学生だ。
だから、好き勝手言ってくる。
俺は、誰にも【レス】だって打ち明けられていない。
だって、みんな亜香里を知ってる。何度も家で飲んだりBBQに行ったりしてるから……。
だから、余計に亜香里の事を悪くは言えない。
「だけど、宮路はワガママすぎだろ?」
「そうかな……」
「そうだよ。いつまでも独身みたいな自由がいいからって子供作らないとかワガママだって」
子供を作らないと作れないとでは微妙にニュアンスが違う。
俺は、作らないではなく作れない方だ。
だけど、それを説明すると【レス】の事を話さなければならないから……。
俺は、ひたすら我慢するしかない。
我慢し続けたら、
「もうお開きだな。彰がめんどくさいから解散」
「はいはい」
彰は、10歳下の彼女がいる。
酔うといつも自慢話と嫁の悪口。
彰のように収入がないみんなは、羨ましくて聞きたくないのだ。
だから、彰が酔うと解散する。
我慢した飲み会が終わり、家に帰宅した。
結婚するまでは、【友達】だと思っていた相手が……。
【友達】じゃなくなったのは、いつからだろう?
学生の頃と違って本心も言えない。
「お帰り」
「ただいま。まだ、仕事?」
「うん。明日までに提出する書類があってね」
酔ったフリをして、俺は亜香里に抱きつく。
月に一度だけしか勇気がわかない。
「諒哉、やめて」
「今日ぐらいいいだろ?亜香里に触れられる事ってあんまりないから」
「やめてって言ってるでしょ」
亜香里は、これ以上ないぐらいの力を出して俺を突き放した。
「ごめん」
「あのね、私はいつでもエッチ出来る相手じゃないの。やめてって言ってるのに何で毎回飲みに行くとそんな事するの」
「もう、俺達10年もレスだろ?子供だって早くしなくちゃ産めなくなるって言うし……」
「子供……?子供なんて私には必要ない。欲しいなら、他所で作れば」
亜香里の言葉に俺は驚いていた。
欲しいなら、他所でって……。
俺は、亜香里との子供が欲しいのに……。
「そうだったよな。亜香里は、仕事が大事だもんな。ごめん、忘れて」
「あのさ、私は諒哉みたいに同じ事の繰り返しじゃないんだよ!毎日、頭使って悩んでるの。諒哉は、暇だからエッチがしたいってばっかり考えるんでしょ!」
「暇じゃないよ。俺だって、ちゃんと働いてるし……。その事だけを毎日考えてるわけじゃない」
「だったら、自分で何とかすればいいじゃない。頑張ったって諒哉のお給料が上がるわけじゃないんだから。だから、私も働いてるんだよ」
「子供作りたいなら、収入増やせって言いたいのか?」
「別に……そんな事言ってないでしょ」
「わかった、もういいよ」
亜香里の顔を見たくなくて家を飛び出した。
【愛】がなければ簡単に別れられるのに……。
【愛】があるから苦しめられる。
愛なんてなかったらいいのに……。
そしたら、俺だって……。
家から少し離れたコンビニにやってきた。
大人気ないって言われたっていい。それでも、今の亜香里の傍にはいられない。
亜香里といるだけで苦しいから。
「いらっしゃいませ」
コンビニに入りビールを取りに行く。
「あっ、すみません」
同時にショーケースに触れた女の人は、綺麗めなワンピースを着てる可愛い人。
こんな人を、妻に出来る男は幸せものなんだろう。
譲り合って先にビールを取らせてもらう。
レジに向かう途中で見つけたサラミも一緒に購入した。
このコンビニに来た理由は一つ。
近くにある公園が、人気がなくていいからだ。
頭を冷やすのには、ちょうどいい。
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