拝啓 君のために
ひえたこ
プロローグ
(救急車のサイレンが徐々に小さくなる)
俺は事故を起こしてしまった。
いつものように仕事が終わり、いつものようにバイクで帰っていたところだった。
俺は何を間違えたのかアクセルを踏んでしまい信号無視。
そのまま右から来たトラックに..
ここは綺麗な場所だ。
救急車のサイレンもしない。
俺のいた場所ではないことはすぐに気がついた。
「ここは..」
声を出した瞬間自分に何が起きたのかを察した。
明らかに俺の太い声ではなかった。
でも、俺はこの声を知っていた。
「若返ったのか..?」
そう呟いた瞬間、横から話しかけられた。
「気がついたか、わしはアトアという神じゃ」
白髭を垂らしたサンタクロースのようなおじいさんがハンモックの上でくつろいでいた。
急に神と名乗るおじいさんに話しかけられ俺は困惑していた。
「あ..えーと..」
「そう緊張するでない。わしは君の世界で言う神様じゃ。そして、ここはエデンじゃ。
君の世界でいう天国じゃな」
「あー..はい」
とりあえず一旦聞こうと思い、話を流す。
「物分かりが良くて助かるのぉ。大体の人はわしのことをコスプレやなんやら言うから
のぉ」
アトアと名乗る神様は突然手を組んで考えだした。
「君」
「君ならわかってくれるかもしれないのぉ。異世界転生というものを知っているかの?」
「一応知っています」
オタクという程ではないが俺はそういう系のラノベはたくさん読んでいたことである程度
知識はあった。
だが、言われてみると悩んでしまうものだ。
「ど..どういうことですか?」
「別にこんな老耄に敬語なんか使わなくて大丈夫じゃよ」
そして、アトアは俺にこの世界ではない違う時空の世界スーカという世界について
話し始めた。
スーカには昔からヌイと言われる魔物を仕切る魔王メイルとヌイから国を守りメイルの討伐をするため1000年に一度神様が選別した勇者を俺のいた世界から送り出していること。
ヌイが毎年10000人程襲い人口が減っていること。
俺で6人目だということ。
今は勇者ということが国の人に悟られないようにスーカの世界の子供に似た姿になっていること。
そして、魔法のようなことができる信気というものがあること。
信気の使い方やヌイを倒せる程度の剣術をアトアから教わり、スーカで名乗るスズという
名前を決め俺はスーカへと異世界転生した。
ーーーーーーーーーーーーーーースズが転生した後ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「アトア、今回の勇者はメイルを倒せそうか?」
「んー..あれはある程度鍛えるか覚醒を見せなければダメな気がするのぉ」
「すぐに死んでしまう程なのか?」
「そうじゃよ。あれは今まで送り込んできた元侍などとは比べ物にならない程、剣術は
弱く、信気量は過去一じゃが使い方がぎこちないからのぉ」
「そうか、ではこちらで策を打たせてもらう」
「これ以上メイルに好き勝手させるわけにはいかない」
「神使(ミニル)、今回の勇者が立派な勇者となり魔王メイルを討伐できる程にまで成長を
サポートしろ」
「かしこまりました」
この物語はいつも物語の主人公である勇者を魔王を倒せるようにサポートする神の使いの
物語である。
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