はるひと不思議な嫁入り狐
雀三世
零
あの日、私たちは出会った。
私はまだ幼かった。
幼かったから、あの日あなたが私に見せた微笑みが、意味することが、何かわからなかった。
今でもあまりわかっていない。
けどね、あの微笑みが、どこか愁いを帯びた微笑みだったことはわかるよ。
あの日、私は見た。
呆然と立ち尽くしこちらを見る幼い少女を...
だけど、なぜだろう。不思議な力を感じた。
だから私は少女に託すことにしたの。
あなたなら必ず救ってくれる。必ず。
-あの愁いを帯びた微笑みを-
-あの少女が持つ不思議な力を-
「私は忘れない」
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