異世界ファンタジーに転移した主人公が7078文字の中で大半ブチ切れてる小説
なめがたしをみ
第1話 王様にブチ切れる。
「ふっざけんじゃねぇぞこら! 今すぐ帰らせろおいっ!!」
「こ、国王様に向かってなんだその口の聞き方は!」
バカでかい城の中に俺の声がこれでもかと響き渡る。
「うるせぇ! てめぇ誰だ?」
「さっきも話しただろう! 貴殿を転移させた神官だ!」
「じゃあてめぇでいいわ! 元の世界に今すぐ戻せ!」
「まぁ、落ち着け神官よ。この御方も急に転移して動揺しておるのだろう」
無駄にデケェ椅子に座ってるデブが偉そうに話してやがる。
「ワシがこの国の王である。今この国は魔王の手によって滅ぼされようとしている。そこでワシらは勇者を呼ぶ儀式を執り行った。そこで呼ばれたのが貴殿である」
「うるせーうるせー! テンプレ話してんじゃねぇぞちょび髭野郎がよぉ! こっちは次の時間プールだったんだよ! わかるか? プールだ! 中学二年生の男子がどれだけプールを楽しみにしてるか分かってんのか!!」
「プールとはなんぞや?」
「てめぇに教えるほどこっちはテンプレ主義じゃねぇんだよ! 今日の給食だってカレーうどんとあげパンだったんだぞ! わかるか? あげパンだけでもハッピーなのにカレーうどんのセットだ! こんなの給食のオバちゃんがトチ狂って献立考えたとして思えねぇだろうがよ! その幸せをおめぇらはぶっ潰したんだぞ!」
「あげパン? カレーうどん? 神官知っておるか?」
「存じませぬ」
「存じても存じなくても関係ねぇ! てめぇクール気取ってんじゃねぇぞ! キャラ付けか? なら語尾とかにも個性的なのつけろや! 中途半端なんだよ! そんなんで誰が話してんのかわかると思ってんのかよダボが!」
「威勢のよい若者じゃな」
「話を勝手に進めようとすんな! あー! わかった聞いてやるよ! この世界に村は何個残ってんだ?」
「三十ぐらいじゃのう」
「残ってんじゃねぇかよ! で! その村に武器・防具・アイテム・宿屋はあんのかよっ!」
「か、各村に一つずつ配置しておる」
「よ! ゆ! う! じゃねぇかよ! 何が魔王に滅ぼされるだ! まだまだ町も物流も止まってねぇじゃねえか!」
「一つ潰されとるし」
「一つ程度でピーピー騒ぐんじゃねぇ!」
「でも……」
「でもじゃねぇよ! だいたいな! 周り見ただけで大層な鎧着てる兵士いるじゃねぇか! まずこいつらを戦わせろよ!」
「これはワシの護衛だし」
「はぁ? 王様のくせに国民の命より自分の保身が大切なのかこら? おめぇ俺の国のトップと何も変わんねぇのな? そりゃあ魔王もキレるだろうよ!」
「王に失礼だぞ!」
「うるせぇ三下が! とにかく残ってるのがこの城だけになってから呼べや! 今はまず戻せ!」
「魔王を倒さねば戻れないようになっておる」
「馬鹿げた転移やってんじゃねぇぞこら! 呼ぶときは普通に呼べてんのに帰るときだけ制約があるっておかしいだろ! マルチ商法の巣窟かここは! 契約しねぇと外に出してもらえねぇのかって言ってんだよ!」
「こほん……とにかく魔王を討伐してもらえれば元の世界に帰れるのは決まりである。だから」
「だからじゃねぇ! 止まれ! その口をつぐめ! まず俺にメリットが一つもねぇじゃねぇか! 死ぬかもしれない旅をさせられて必死こいて魔王を倒したらご褒美は今までの世界に帰れるだけ? 意味分かんねえだろうが! お前ら最近のネット小説あがりのアニメとか好き系なやつだろ? いねえぇぇぇんだよ! それで俺には感情がないから別にいいかとか! 目立ちたくないが仕方ないで戦うアホなんてよぉぉぉぉぉぉ!!」
「ねぇ、神官、こいつ怒りすぎじゃない?」
「怒りすぎだと思います」
「よしっ! わかった。こうなったら金で解決しよう」
「え?」
「俺が魔王を倒して元の世界戻ったら俺が死ぬまで毎月月末に金を振り込め。わかったな」
「いや……それは」
「おめぇら、こんな裕福そうな生活してんのに世界を守った俺に金は渡せねぇってのか?」
「わ、わかった! 魔王を討伐したあかつきには検討しよう!」
「そんなあやふやなもんで人が動くわけねぇだろ? てめぇは日本企業の古い重役か? 現場にも出てこねぇで変な雑誌のインタビュー受けて高そうな時計ひけらかしてる新進気鋭の社長かなんかか?」
「もう、何言ってるかわかんない!」
「確約しろ! 金だ! 金! 金!」
「わかった! 約束しよう!」
「それなら今のところはいいだろう。じゃあ先ずは旅に出るための金と装備よこせ!」
「それではこの150ゴルードとまつの切れっ端を……」
「てめぇ! 魔王討伐してくれる奴に何だそのゴミはよぉ! まだわかってねぇようだな! 全員正座しろこらっ!!!!」
こうして俺の魔王討伐の旅は始まった。
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