第3話:降って湧いたような偶然の出会い。

さて・・・妻公認ったって・・・そんなに都合よく相手が 見つかるはずも

ないんだ。

はじめっから考えが甘かったか・・・。


対象は40才くらいの独身女性・・・それ以下は歳が離れすぎてる。

40才で独身なんて・・・いるのか?

いても未亡人くらいじゃないのか?

どう考えてもこんなおじさんに・・・そんなモノ好きいるはずもなし・・・。


なんて提案なんだ、ますます不満溜まるわ・・・って言いたかった。


妻公認のセフレを持てることに浮かれていて僕は半分ウハウハだったけど

冷静になって考えたら探すこと自体、山ほどある干し草の中からたった

一本の針を探すようなもの。

いるはずなかったんだ・・・おじさんと付き合ってくれるような女性なんて。


妻からの提案があってからセフレちゃんができないまま、すでに一年が

過ぎようとしていた。

一年間、悶々としながらなんとか耐えた。

なんの進展もないまま、この話はフェードアウトするものと半ば諦めかけて

いた。


が・・・捨てる神あれば拾う神ありとはよく言ったもの。

いたんだな、そんな物好きな女神が・・・しかもめちゃ若いときている。


それは年の暮れ、取引先の会社の忘年会の帰りに、ほろ酔い気分で タクシーを

拾おうと歩道から車道へでようとして歩道と車道にあったガードレールの鎖に

足を取られて、みごとに車道にズッコケ突っ伏してしまったんだ。


そんな間抜けなことはやらないと思ってたら自分がやっちゃったわけ。


思ったように足が上がってなかったみたい。

それは歳だからに他ならない。

若い時はそんな鎖、軽く飛び越えていたから・・・。

歳はとりたくない・・・脳みそはまだ若くても・・・体がついて行ってない。


左肘から落ちたのでシャツごと肘を擦りむいてしまって血が出て痛さと情けなさ

でうずくまいっていたら・・・だ。


「大丈夫ですか?」


って声をかけてきた女性がいた。

そう僕とアイアイ「セフレちゃん」の出会いは、そんなひょんなことからだった。


声のトーンからして若い女性だとすぐ分かった。

声はもう一度「大丈夫?」と聞いてきた。

声がした方を見ると、僕の目の前に一人の若い女性がいて、しゃがみこんで

腕組みして心配そうに僕を覗き込んでいた。


傷ついた肘を確かめていると、その女性はバッグから消毒液とバンドエードを

何枚かとり出して傷の手当てをしてくれた。


「他は大丈夫ですか?」


「あ、はい大丈夫です・・・ありがとうございます」


僕は顔を真っ赤にして「かっこ悪いったら・・・」そう言った。

そういう時は多少の打撲をしていても人は平気そうなふりをする。

あとで調べてみたら、あちこち打ってたりして痛かった。


「向こうのベンチで休んだほうが・・?」


「ありがとう・・・そうします」


声をかけてくれた女性はとても可愛くて&めちゃ綺麗な子だった。

その子は一瞬ハーフかと思うくらいチャーミングな顔だちで僕はちょっと

見とれてしまった。

背も僕より高くみえるし、スタイルもよさそうだし・・・。

ブーツのせいか?、ブーツを履いてなかったとしてもたぶん160センチくらい

はあるだろうか。

年の頃なら24〜5才くらい?。


その女性はそのまま行ってしまうのかと思ったらベンチまで付き添ってくれた。


しばらく世間話をしていると彼女はIT系の商社に勤めているらしく

今夜は僕と同じ忘年会の帰りだったらしい。


僕の恥ずかしい失態を目にして見て見ぬ振りをしてそのまま通り過ぎようと

思ったらしい。

でも、何かが彼女をひきとめた。


それが僕と彼女の運命の分かれ道。

彼女がそのまま通り過ぎていたらこの物語はここで終わっていただろう。


その時、もしかしたら愛のキューピットが僕たちの頭上に舞い降りて来てた

のかもしれない。


せっかくだから、お礼になにかさせて欲しいと言うと彼女は笑顔で

素直に「ラーメンが食べたい」 と言った。


すぐ近くにラーメンの屋台があったので、その店に彼女を連れて行った。


で、少しは考えた・・・こんな子がって・・・。

だけど彼女との歳の差は親子くらい・・・さすがにないと思った。


話など、まるっきり噛み合わないと思っていたが、これが意外と話せる子だった。

子供の頃はおじいちゃん子だったらしい。

それでおじさんに話を合わせるのがうまいんだ。


彼女の名前は「佐藤 藍さとう あい」歳は23才。

髪は前髪ありのロングのストレートに茶髪。

ぽわぽわの暖かそうなネックのセーターに短めのタイトスカート、

それにニーハイブーツ・・・どこかギャルっぽい感じもした。


彼女はなんの躊躇ためらいもなく僕にLINEと連絡先を交換してくれと

言ってきた。

そんなの普通変でしょ、若い子がおじさんの連絡先、聞いてくるなんて・・・。


なんで、僕みたいなおじさんの連絡先が必要なの?

って聞いたんです。

そしたら「タイプだから」ってストレートな答えが返ってきた。


えっ?・・・耳を疑ったね。

タイプって言ったって・・・いくらなんでも、おじさんだよ。

歳いくつ離れてると思ってるの?・・・どう見ても親子じゃん、

からかってる?


でも教えてと言われて断る理由もないし・・・だから僕は自分の名前を

彼女に教え、お互いの連絡先を交換したんだ。


「じゃ、私そろそろ帰りますね」

「ごちそうさま」


「かならず連絡しますから・・・」


そう言うと彼女はタクシーを拾って僕が帰る方向とは反対のほうへ帰って行った。

鎖に足をひっかけて転んだ・・・その時は、めちゃかっこ悪い話で終わると

思っていた。

だから、彼女から連絡が来るなんて僕は思ってもみなかった。


つづく。

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