第34話条件付きスキル

「サンダーランド、ごめん。私…行かないと。ゆっくり休んでて。」


「頼んだよケラー、気をつけてね。」


ケラーはボロボロになってしまったホウキに跨らずに足を使って戦場へと走って行った。


「ケラーはすごいなぁ。」本当に勇敢で強い、魔法使いのようだな。一方で俺はこんなにあっさり負けるなんて、なんて情けないんだよ…


 ◆


「ケラー!」


「師団!」



「ありがとなケラー。咄嗟に頼んだのによく対処してくれた」



「すげえなケラー!あとは俺たちに任せ」



「キャノンデビエンド!」



「また来るぞ!」



ドカアアアアアアアン


空気が割れるような風を巻き起こす衝撃波、これは魔法の杖を向けた方向に放たれる指定魔法。決して方向が決められた固定魔法やランダムに方向が決められるアトランダム魔法ではない。


本人の意思で方向が変えられる指定魔法。キャノンデビエンドのような威力のある魔法は通常は敵に向かって放つもの。しかし、方向を変えると別の使い方ができる。



「風が、こない…?」



突風が来ると思って必死にガードをしたが、その必要はなかった。その突風は自分たちが予測した方向とはまったく真逆からやってきたからだ。



「…こい、俺を飛ばせ!」



「あいつ何を考えているんだ。自分にあの威力のキャノンデビエンドを当てるなど自殺行為だぞ!」



マチルダはキャノンデビエンドの突風を利用し空に浮かび上がった。



「速い!あいつ、何を考えて」



「あっちの方向は森だよ!あいつの狙いは休んでるサンダーランドだ」



「ダメ、急がないと!」



「レンドラピオならここからすぐに追いつける!」



レンドラピオ



「浮かんでるっていうかすぐに落ちるぞ。風に巻き込まれてる…!あの風がそのまま直撃すれば間違いなく2人とも死ぬ。」



「追いつけるか…」


「追いつかないとだめ!」


「気付いてくれ!サンダーランド…」


レンドラピオで追いかけるもその差は縮まるどころか離れていった。その風は空気を吸いながらさらにスピードを増してサンダーランドに近付いた。



なにか…音がする、、空気?風か?

戦場からは離れてるはずだけどな…


俺の視界には細い雨と茶色く濁った泥しか映らず、この空気の切れる音がどこから運ばれてきているのかその正体こそ全くわからない。



でも、なにかまずい。そんな予感はする…



「サンダーランドっっ!」



トニーの声…だよな今の。やっぱり、やばい!



「死ね、サンダーランド」



「マチルダは自爆覚悟でサンダーランドを殺しにかかった…それとも生き残れる方法があるというのか?」


スキル発動

魔法杖自動操作



「バリアゴールズ」



「ちっ!」



魔法の杖、鳥の羽がゴールドに輝きその光がバリアを唱えキャノンデビエンドをなんとか抑えた。



「スキルで抑えたか、だがそれもすぐに突破してやる。このキャノンデビエンドの威力は通常の倍だ!!」



「あとちょっとで追いつける…それまで耐えて、!」



「体………動け、」



「後少しでお前の体は粉々だ!」




「できるなら……やってみろよ!」


パリンッ!



「…バリアが破られたぞ!」


「サンダーランドっっ!!」


「トニー突っ込んじゃだめ!」





「はぁ…はぁ…ぶねえ」



「その血だらけの体でなぜこの威力に耐えられたんだ!ありえない…」



「ありえるんだよ、俺のスキルはありえないことを本当に起こしてしまうのさ。」



念動力 テルケニス



「歪んだ空間はお前の魔法を無効化させる。あくまでもこれは俺ができる範囲内での自動操作だが、それがもし他の魔法にも影響を及ぼしたら…」



「他の魔法…?」



「スキルにはアドランダムスキルと指定スキルがある、後……稀にアドランダムスキル、指定スキルのどちらかと組み合わさった条件付きスキルがある」

「アドランダムだとしても条件が揃えば発動するってことさ。」



「何を言っているのかさっぱりだな。」



「条件が揃ったってことだよ…死ね。」



条件付き

スキル発動

天罰パニッシュメント


ドカアアアアアアアン


巨大な爆弾が爆発したような衝撃が一瞬で地面を介して伝わってきた。地面が揺れるほどの大きな衝撃波が、赤い炎とともにマチルダの体を完全に潰した。



「サンダーランド…いつのまに俺のスキルの条件を」



「師団…こう見えて俺って真面目ちゃんですよ?いたって真面目な魔法使いです。」

















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