(一)-3

「今、テロの現場となった環状八号線の現場に来ています。ここでは通産省と建設省の合同で行われている『いざなぎプロジェクト』の一環で建設が進む、経済特区の境界を示す壁の工事現場になっています。事件発生当時、ここでは多くの作業員の方がこの壁の建設に従事していました」

 映像では、地面に残っている被害者が負傷したときに付いた血糊の跡も映し出されていた。

「政府側は、これを卑劣なテロリストの犯行として非難する声明を出しています」

「いや、やっぱりもう一度やる!」

 悦子はリビングを出た。出てすぐの壁を右手で力一杯殴った。

 そして悦子は「クソッ」と呟いて、洗面所へ向かった。


(続く)

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