第35話
「むうん!!」(復活しました)。最新します!
———————
あの後、悲しそうな顔をしてた百瀬さんに『剣姫』が魔石を渡して換金したあと、その場で解散になった。
「『修羅』さん!今日は何から何までありがとうございました!さらに強くなってきます!
あと『名無しの剣』はリスナーたちといろいろ話し合うのでよかったら観に来てください!」
・またな〜!!
・最高のコラボをありがとう!!!
・またコラボやってくれ!頼む!
・『賢者』に会えるの楽しみにしてるで!!
と帰り際に言われたが楽しみだな……。
——あれ?ゴールデンスパイダーの魂 どうするんだろうか?
…まああの人ならなんとかするだろうな。
「あら?『修羅』さんは帰らないんですか?」
探索者協会の自由スペースに座りチクタクと
小気味よくなっている時計の側でゆったりとコーヒーを飲みながら本を読んでいると、
カウンターから暇そうにしている百瀬さんに話しかけられた。
「ええ。まだ戦い足りなくて」
実をいうとゴールデンスパイダーと戦ってちょっと火がついてしまったようだ。
手が、太刀が、今すぐモンスターと戦いたいと唸っている。
「ウフフふふ。分かりますよぉ〜その気持ち。私もゴールデンスパイダーと戦ってみたかったですもん♩」
なんかこの人俺と同じ匂いがするな。
うん
戦闘狂か。
「でも今の私だったらゴールデンスパイダーに負けるでしょうね〜。歳はとりたくないものね」
この人…………
「見たところ互角ぐらいだと思いますよ」
「あら……?!わかるの?」
「ええ。魔力量もかなり多いし、何より相当槍を使ってますね。歩き方で分かりましたよ」
「流石Sランクだわ…!でも一つだけ違うわ。互角だったら私が勝てると思うの。
私はただでは死なないから——
そういうと少しだけ魔力が外に溢れていた。
百瀬さんは『剣姫』から聞いた情報だと引退したとはいえ、元Aランク。
当然、少し離れたところにいた慣れはじめの探索者たちは
「ひいいぃ!!」
「な、なんだ?!?!」
「も、漏れちゃった……」
こういう被害が広がる。あと漏らしたやつどんまい。
「あら?間違えちゃったわ♪」
今一瞬だけ、百瀬さんに凄味があったような…
「でもゴールデンスパイダーでも『修羅』さんにとっては取るに足らない相手なんでしょう?」
「まあ最近だったらドラゴンと戦いましたね」
「まぁ!それは凄いわね!私でも勝てないのに…」
「でも今日は、ドラゴンよりも強い相手を倒せるいい計画を思いついたんですよ」
「あら?何かしら?」
———下層の下を行きます。
◇◆◇
百瀬さんの驚きすぎて絶句してた顔は一生忘れないだろう。
「えっと……………………会長を呼んでくるわ」
「いやいや、良いですよ別に」
「いい良くないの問題じゃないのよ?これは日本の英雄が世界に知らしめられるかも知らないんだから」
「んな大袈裟な」
たかが下層突破だぞ?まだ行ったことないけど…
「八神くんも知ってると思うけど、下層を突破した国は、アメリカと中国、ドイツしかないの。
ドイツと中国は大量のドーピング剤を国家予算の三分の一使って大量の死者を出しながら下層を突破したじゃない?
他の国にも相当叩かれたけど『下層を突破した』っていうステータスは突破した国にとって余りにも大きいアドバンテージだったからそれ以上は言えなかったのは知ってるかしら?」
「勿論知ってますよ。高校の授業でやりましたからね。つまり下層を突破できるほどの戦力がいるぞっていう知らしめですよね?」
「そう。核もまだ所有している国はあるけど『魔力』が現れてから核の対策すらできてしまっているのよ。
それに、核よりも強力な『探索者』がいる今となっては探索者が国家戦力なんていう国もあるのよ?」
「アメリカはまさにそうですよね」
「そう。唯一アメリカはドーピングしないで正面突破で下層を突破した国よ。おそらく正面突破することで素の実力で下層を突破できるんだぞ!っていうことを知らしめたかったんでしょうね……」
「確かにあの国はやりそうですね…」
「話を戻すけど八神さん、『修羅』さんがもし下層を突破することが本気なら、会長と話しておかないと。これは貴方が思ってるよりも重要なことなのよ?」
なるほ、ど
「……………………………………………………………………………………………………………………つまり、行けないと。今日は」
「そりゃそうですよ。会長さんと話さないと」
「そうしますか………」
「因みに下層にいけるかも分からないですよ?」
「え?!何故?」
「ダンジョン協会の偉い人達と大臣が話し合うんですよ。下層突破する時は行かせるか行かせないか討論するんです。死なれてしまったら国が余りにも大きすぎる損失をしてしまうのでね」
「な、なるほど」
はぁ、
タタカイタイナァ。
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