37 いい加減な冒険譚 その37

 モンスターハウスの傍に転移する魔方陣に、オーガに投げ飛ばされて転移させられた件。


 そして、フィンとファラが足手纏い(既にフィンは行動不能に近い状態だった)なので、文字通りお荷物仮死体となって貰い……ギルドカードアイテムボックスに収納した……後はあの出入口まで突破するだけだけど……ハァ、ヤッテランネェ


━━━━━━━━━━━━━━━


──くうを跳べ!──


 準備オーケーと、立ち上がるツトム。と、その瞬間……背後の魔方陣が青白く光り、自身の影が目線の下に映ったことで誰かが転移してくると気付く……


(まさかっ!?)


 あの場所には他に冒険者もダンチューバーも居なかった筈だ。慌ててその場から飛び退くツトム。と同時に現れるオーガたち!


「マジかっ!?」


 既に身体強化フィジカルブーストを掛けた体だ。そのままダッシュで逃げ出す!


〈〈〈ゴオオオオッ!〉〉〉


どがあっ!


 地面を殴るが既にそこには居らず。ツトムは足を滑らせることなく……転移魔方陣の在った場所からどんどん加速して離れていく……そしてっ!


「退きやがれっ!」


 まず、地面を蹴ってジャンプ。そしてこちらを振り返ったゴブリンを蹴り飛ばして、その後ろのオークの鼻面を靴底で踏み付け……ある程度背骨がしなって斜めになったタイミングで蹴り圧して踏み台にして更にジャンプ!(ボギィッ!……という骨折の音が聞こえたかどうかは、周囲の怒声で聞こえなかったとだけ)


※俺を踏み台にしたっ!?……という台詞は聞けませんでした(笑)(靴底で口が開かなかったので←大体魔物の言葉なんぞわからない罠)



「どっせぇーーいっ!」


 跳躍したがまだまだ飛距離が足りない。山なりに軌跡を描いて落ちる先でこん棒が振り下ろされて来たので、体を捻って回避……持ち手を蹴って下腕から上腕に向かって肩に着地→そのまま全身の膂力を足に伝えて大ジャンプ!


 俺をぶん殴ろうとしたオーガが頭を上げた頃には、既にモンスターハウスのど真ん中に到達してたので見失ってんじゃないか?……多分だけどな!


(次の着地点は……ちっ)


 魔物たちは着地予想点から退避していて、地面が剥き出しになっていた。こちらを「ぢぃーー」っと凝視しており、更に先には弓矢を構えるゴブリンアーチャーが数体……


(敵対してる同士で協力して侵入者を殺しに来るってのが……MHモン家の特徴だよな……)


※モン家……モンスターハウスの略語。読みは「もんけ」(日本独自の略称)



 ツトムはなるべく早くMHから脱出しようと装備を減らしていたが、こりゃ無理だとバックラー状態の盾を装着した。アイテムボックスに装着状態で収納していたので、装着状態で取り出したのだ。


ががががいんんんん……


 と同時に左腕のバックラーに矢が着弾して弾かれる。余韻の音が鳴り響いてる間に、僅かに押された体が空いている空間よりやや手前にと着地し……


〈ぐがあああっ!〉


 ……と、背後から武器が振り下ろされる!


「へっ……ご丁寧に、ありがとよ!」


 ツトムは振り返ってバックラーを展開させてタワーシールドへと変化させ……


ずがああああんんっ!


 ……と、何とか耐え凌ぐ。


「おお、怖……って、こいつぁ……」


 振り下ろした巨大な斧を地面から引き離してこちらを睨み付けたその巨躯は……雄々しく筋骨隆々な体。逆三角形のボディビルダー体形な……頭部は牛、体はボディビルダーな……ミノタウロスだった……


━━━━━━━━━━━━━━━

みしり


 ……と鳴るタワーシールド。ツトムは、


(このままじゃ余り長くは保たないな)


 ……と判断。基本的に逃亡する方針は変えないが、盾で攻撃を耐え凌ぐのは自殺行為だと考える


(どうやってこの危機的状況から脱出できるか)


 ……と、灰色の脳細胞をフル回転させるのだった

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