昭和の青春①(映画館)

進藤 進

二番館

十代後半。

二十歳前の青春で。


とりわけ記憶に残るものは。

「映画」です。


あの頃の若者のデートの定番。


どんなに口下手でも。

映画に誘えば女の子も嫌な顔はしませんでした。


レンタルビデオが普及するのは少し後になりますが。

その時代を含めても「映画館」で観る迫力は凄かったのです。


テレビのモニター画面は。

せいぜい20インチで今のパソコンと変わりないくらいで。


顔をくっつけるようにして家で観ていました。


ところが映画館は。

どこでも座席も多くてガラガラです。


巨大スクリーンと。

ガンガン鳴るスピーカーは。


本当に胸が躍ったのです。。


とりわけ。

僕が大学生の頃は「二番館」が各地にありました。


ロードショーが終わった人気の映画フィルムが。

場末の小さな劇場に安く払い下げられるので。


当時の値段で1200円位の作品が300~500円で観られるのです。


地方から上京している僕のような学生には。

とても素敵な存在でした。


当時のアルバイトの時給は400円~600円位だったでしょうか。


少し、頑張れば貯められる値段でした。

まして彼女とのデートです。


頑張りました。(笑)


映画の内容も鮮明に覚えています。


「ローマの休日」のようなリバイバルから。

「スターウォーズ」のような最新SFもありました。


最初に流れる宣伝用の予告編から。

ドキドキ、ワクワク・・・していました。


悲しい場面で。

泣いている彼女の横顔が。


スクリーンの光に照らされて。


奇麗だな。

と。


思った。

僕、でした。

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