無機物質-非金属元素-硫黄
硫黄には、単斜硫黄、斜方硫黄、ゴム状硫黄などの同素体がある。
硫化水素には強い還元性がある。
二酸化硫黄は無色で刺激臭のある気体で、有毒である。二酸化硫黄はじめ、このほかの硫黄酸化物もまとめてSOx(ソックス)と呼ぶことがある。硫黄酸化物は酸性雨の原因部室の一つである。
硫酸は、無色無臭で粘性が高く、沸点も高い液体である。工業的には酸化バナジウム(V)を触媒として、接触法によって製造される。硫酸で、濃度が90%を超えるものを濃硫酸(市販のものは98%、18mol/Lのものが多い)と呼び、それより濃度の低いものを希硫酸と呼ぶ。硫酸の性質として、吸湿性、脱水性、不揮発性が挙げられる。一つずつ説明する。吸湿性とは、化学式上でH2Oとして存在している水の単体や水和水を除去する性質である。この性質を活かして、塩素の製造時や、デシケーターに用いられる。それに対して、脱水性とは、化学式上にH2Oとして存在していないがHとOを構成元素に持つ化合物から成分元素のHとOを水の形で奪う作用である。例えば、スクロースやギ酸を脱水する。このように、吸湿性と脱水性は明確に異なる。不揮発性とは、その名の通り揮発しない性質である。この性質を活かして、揮発性の酸の遊離反応に用いられる。
濃硫酸を水に加えると希硫酸になるが、ここで注意が必要なことがある。濃硫酸を薄める際に、濃硫酸に水を入れてはならず、水に濃硫酸を入れる必要があるということである。水と濃硫酸では、当然濃硫酸の方が密度が大きいため、この二者を混合すると水が上部に、濃硫酸が下部へ行こうとする。つまり、濃硫酸に水を加えると、濃硫酸が希硫酸となる反応が表面で起こるということである。これでは、発生した希硫酸が周囲に飛び散る危険性があり大変危険である。一方、水に濃硫酸を加えると、濃硫酸の方が密度が大きいため、濃硫酸は即座に水に沈む。そのため、反応は水の内部で起こるため、生じる希硫酸が飛び散ることなく安全である。濃硫酸に水を加えて希釈する反応は発熱反応であるため、この操作は冷却しながら行う。
希硫酸は強酸であるが、濃硫酸は弱酸である。この理由は、強酸と弱酸の定義を考えるとわかる。強酸と弱酸は、溶質の電離度によって定義されているのであった。希硫酸中には大量に水があるため、十分電離することができるが、濃硫酸中には水がほとんどないため、十分に電離することができないため、弱酸となっている。
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