第45話 ライテルーザ戦闘《リルアvs骨竜──②》

 リルアは吹っ飛ばした骨竜に視線を向け次に備えていた。


 胸骨を砕かれながらも起き上がる姿はやはりアンデットというものであった。

 骨の翼を広げながらまた、空中へと飛びあがろうとしていた。


 これを見たリルアは──


「あの骨の翼──邪魔ですね……」



 そう小さく言うと地面を力強く踏み切り骨竜の上空へと移動した。

 そして眼下に骨竜を捉えつつ、「──メシアお姉様、技お借りしますね♪」と言うと魔力をその手に集中させていた──



「──聖大鎌ホーリィサイズ──」



 そう言った瞬間!


 リルアの手には白く光る身の丈を超える大きな鎌が出現していた。

 その鎌を骨の翼を目掛けて振り下ろした!

 そして一瞬のうちに両方の翼を斬り落とされた骨竜は上空への移動をキャンセルされた。


 リルアは口元に笑みを浮かべながらある言葉を大きな声で口にした。


 

「──……」



 これに反応したのはただ一人、スタルだった。

 なぜなら、この言葉は地球でもかなり有名なアニメの言葉のオマージュだと分かったからである。


 スタルは骨竜の翼を落として目の前に戻ってきたリルアに聞いた。

 

「リルア少女。君はなぜあの言葉を知っている?」 

 

「あの言葉を?」

 

「そうだ、さっき言ってたではないか、『飛ばねぇ骨竜はただの骨トカゲ』だとかなんだとか……」

 

「ああ! あれですか? あれは2、3週間前に〈港町シーラ〉のお店で有名語録みたいな感じで色紙に書いて売られてたんですよぉ〜。『飛ばねぇ〇〇はただの〇〇だ』みたいな感じで。それでなんか『これは!』と思って買ったんです♪ で、何でも屋の店主さんに聞いたら、をした変な格好のの冒険者みたいな人が、売りに来たって言ってました」

 


 これを聞いたスタルは確信していた。

 間違いなくユイだと……。

 こっちに戻ってきた期間とも一致する。

 確かにリスティラードのお金なんて持っているはずもなく苦肉の策だったのが窺える。


 

「で、それが何ですか?」


「いや、もう解決したから大丈夫だ……(後でユイに確認するか……)」

 

 このよく分からない会話を見せられているミヤは呆れ気味に言った。

 

「あんたらさぁ、今の状況分かってんのかい? 戦ってんだよ!?」

 

 あ! そうでしたと言わんばかりに手を叩くリルア。

 スタルも謝ってきた。


 

「──ところでリルアお嬢ちゃん。翼を斬り落としたのはいいけど、あれをどうするんだい?」



「う〜ん。そうですねぇ……。あとは這ってるだけですから……次で終わりにしましょうか! ふっふっふっ。言ってみたかった言葉がまだあるんですよ!」


 

 そのリルアの言い方に先ほどのユイらしき者が売りにきたと言う色紙を思い出す。

 そしてその言葉を待っていた……。


 

「私の名はリルア! ホワイトドラゴン随一にして最強のホワイトブレスの使い手!」


 

 これを聞いたスタルは思った。

 

 ──ああ、これはあの言葉だと……。



 確かにこの言葉を生み出したあの娘は可愛い。

 ちょっと頭があれだが、そんなものを払拭するくらい面白い。

 それにツンデレの部分も何とも言えない。

 リスペクトをしてやまない。


 

 しかも、彼女ももし同じ状況なら魔法を放ち、リスティラードという もたらすだろうと……。

 

 そしてリルアは両手を突き出し言った。


 

「ホワイトブレス五重奏クインテット


 

 この言葉は空中に五つの魔力を生み出しターゲット目掛けて一気に放たれた!

 五つは骨竜を囲むように集中し、爆炎を上げると一瞬にして跡形なく葬っていた。

 どこか満足げな笑顔を見せているリルア。


 

「よし! 終わりました! さてと戻ろうかな。あっ! その前にお二人の魔力を回復させますね♪」


 

 そう言うと、二人の魔力を7割ほど回復させると足早に戻っていった。

 

 一段落いちだんらくして、改めてスタル達は思っていた。

 ドラゴン種族とは力の次元が違うのだと。

 そして──


「──ユイ達はうまくいっているのか……?」


「まぁあっちにはメシア皇女もいるし、強力な力を持つ人間が集まってるからね……。信じようじゃないか……」


 この時、アイル達は《死神の君主ロードオブグリムリーパー》と対峙していた。

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