第42話 ライテルーザの戦闘──《スタル、ミヤサイド》──骨竜

 骨竜ボーンドラゴンはスタルとミヤ、そして騎士達に向けて、骨格のみの翼を広げた。


 すると、その隙間を埋めるように黒い膜が張り、そこから無数の黒い槍を生み出し一気にそれを放った。

 

 スタルとミヤは融合魔法を構築すると、雷と聖魔法を合わせ、【聖雷壁ホーリィンダーウォール】を目の前に出現させなんとか防いでいた。


 聖属性の壁に雷を纏わせ強化を施した。

 壁に当たる前に、黒槍に絡み、そのダメージを軽減させていた。


 だがやはり骨竜の攻撃は強力で、幾つかの槍はそれを貫通すると、仲間の騎士達にも被害が出ていた。

 不幸中の幸いと言うべきか、死者は出ていない。

 しかし、このままでは間違いなく死者が出てしまう。


 これを何とかしようとスタルが口を開いた。


「──ミヤ。僕の剣に最大の聖と光属性を付加してくれ。それをアイツに突き刺す! そこから僕が全力で雷を骨竜に流す。そうすれば多少は動きが鈍るはずだ。そこにお前が全力で聖白魔法を撃ち込んでくれ! 聖属性と光属性が合わさればかなりのダメージが通るはずだからな……」


 この提案にミヤは、「──それはいいが……」と言い続けた。


「その攻撃で、骨竜を何とかできるのかい?」

「ハッキリは言えん! だが、このままではいずれ全滅する。ならば、少しでもこの状況が変わる可能性がある事を信じるのみだ!」

「──ああ、分かったよ。だけど、そう簡単に懐に入らせてもらえるのかい?」



 ミヤの問いに微かに笑みを浮かべながら──



「──それを可能にできるのが雷魔法だ……」

 スタルは言うと、全身に雷を纏わせた。


 これに続けて、ミヤは言われた通りの聖と光属性の聖白魔法の強化を剣に施した。


 そしてスタルは、全身強化をし瞬間踏み切った!

 

 ──ビリリリッ! と小さく音を立てると、一瞬。

 骨竜ボーンドラゴンの懐に入り込み、剣を突き立てた!


 この攻撃に、予想通り動きが鈍っていた。

 そしてすかさず、ミヤは聖白魔法【聖光剣ホーリィソード】を骨竜の体内に全力展開していた。


 自らの体内に膨大な聖と光のエネルギーを浴びせられた骨竜は、全身の骨格に光の罅が入りその体を崩壊させた。

 

 文字通り全力で動いた2人はその場に座り込んでいた。

 

「ふー……。何とかなったな……。だが、魔力は殆ど残っていないぞ……」


「それはワタシもだよ……。リンクの残滓で普通よりも強力な魔法になったからどうにかできたが、通常ならかなり厳しいことになってるよ……」


「──他の場所はどんなんだろうな……」


 スタルの独り言に、周りにいた騎士が報告してくれた。


 どうやら他の場所ではここまで強力で、多数のアンデットは集中しなかったと連絡が入った。

 これが幸いし、他の騎士達は対応できていると言う事であった。

 この報告に、スタルはため息を吐き言った。


 

「これは恐らく魔力が高い場所へと集中しているようだな……。まぁ、なんにせよ、無事で何よりだ……」

 


 これに続くように、ミヤは言ってはいけない事を口にした。

 


「──そうだね。もしまた完全に死ぬねぇ……」



「──!? おい! その発言は漫画や小説において言ってはいけないフラグだぞ!?」



「はぁッ? 何言ってんだい……フラグ? 何だいそれは?」



 そう会話をしているが、やはりスタルの危惧するところは現実になる。


 スタルは達のいる地面には黒く大きな影ができている。

 上空に目をやると、骨でありながらホバリングをし自分達を見下ろす二体目となる骨竜が現れていた。

 それを確認したスタルは言った。



 

「──どうするのだこれは……?」



 

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