陽の君と陰の僕
石崎あずさ
君と出会った日。
※この話には一部の地域を差別するような表現があります。
全然いいよという方は引き続きご覧ください。
俺の名前は川野勝太。クラスになじめず教室の端っこで勉強をしてるいわゆる陰キャってやつだ。
だからって特にいじめられたりしてるわけではないが、少し存在が浮いているってところだ。
でも近くの陽キャから盗み聞きしたんだが、このクラスに「転校生」が来るらしい。
「はぁ...転校生か。どうでもいいな。」
正直転校生が来ても誰も俺のことをかまってくれない。
そうに決まってるはずさ。
朝の時間、
「一時間目を始める前にお前らに伝えないといけないことがある。」
そういうとクラスの陽キャたちは
「どうせ転校生だろwwww」
先生は声を大にして言った。
「入ってくれ。」
教室に入ってきた途端俺は言葉を失った。内心こう思った。
(めっちゃ可愛いじゃねぇか!!!)
「井上夏希です。大阪から来ました。」
(大阪か...一番苦手なタイプ!!!)
「とりあえず川野の隣に座ってくれ。」
先生が言った。
(え?)
そして噂の転校生が隣の席に来る。
「よろしく」
その後に笑顔を見せた。
(やばい可愛すぎて死にそう...)
そのまま給食まで過ごした。
給食が始まるとき彼女は
「一緒に食べる?」
関西独特のイントネーションで聞いてきた。
「えぇ...あぁ...あの...」
「よし分かった!机くつっけて食べよか!」
「え?待ってなんとも思わないの?この地味男となんか食事なんて...」
「地味男だからなんや?」
「え?」
「うちあんまそういうの気にせんタイプやねんw」
えぇ...
俺はこのままHRまで過ごした。
「どうせ誰もいないし歌でも歌って帰るか」
八重浪寄する海よ浜よ~♪青く畳む山々~♪
「なに歌ってんの?」
「うぇぇ?」
「だからwなに歌ってんの?」
「あぁこの市の市歌だよ。」
「市歌って...ここの?」
「あぁ。」
しばらく会話は続いた。俺はこの子について知れる第一歩を踏み出した。
「なんで静岡に来たの?」
「あぁ...お父さんは有名企業の社員でいろんなところに出張に行くの。それについてきた感じ。」
「へぇ~...大阪から来たって言ってたけど出身どこなの?」
「三重。」
「...ギリ東海じゃね?」
「うるさいやい!」
顔を赤くして言ってきた。やっぱり可愛い。
「でも正直...静岡の浜松ってところも悪くないね。」
「なんだよ。そんな言い方。」
「静岡茶畑しかないと思ってたから...」
「ぶん殴るぞ。」
「すいやせん...」
「にしても前々から思ってたんだけど...」
「何?」
「背小っちゃいけど何cm?」
「......4...」
「え?」
「144!」
「小3じゃない?」
「やめて...そんな目で見ないで...」
彼女はわざとらしい声を出した。
「な~んてね!」
(こいつといるのも案外悪くない。)
ー翌朝ー
「っしゃ~!土曜だ!!!」
待ちに待った土曜が来た。
「てか昨日の井上...?って子可愛かったな~家この辺なのかな?」
「お母さん!買い物行ってきま~す」
ドアを開けると...
「やっほ~♪」
「井上さん!」
「別に夏希でもいいよ...」
「あぁ分かった。夏希。」
彼女は顔を真っ赤にした。
「初めて...お父さん以外に呼び捨てにされたの...」
「勝太?だっけ...」
「あ...あぁ...」
「勝太大好き!」
(えぇ!?)
「で...どうしたんだよ。こんな朝っぱらから俺の家来て...一番気になるのは俺の家なんで知ってるかだけど...」
「あの今日お母さんが一日中いなくて...兄弟も友達の家泊まるから泊まらせて?」
「え?嘘...」
「ん?どうしたの?」
「女子に家泊まらすの初めてなんだが...」
「だろうね...」
「じゃ買い出し行ってくるから。」
「うん...」
俺が数歩歩きだしたときにに夏希は右手をつかんだ。
真っ赤な顔をこっちに向けて恥ずかしそうに彼女は言った。
「今日、勝太とデートしたい。」
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます