第4話 煌めきと出会う
――令和○年4月7日(水) 昼休み――
入学式の日、その翌日。午後の授業の前。隣に水人いない、退屈……
「聞きこんできたよ。ボクらの目論見は当たったね」
目論見……私たち二人の、交際宣言。特定の相手、いると知れば、ちょっかい掛ける、
午前の休み時間、教室を覗く人、溢れるぐらい。沢山の視線、気持ち悪い私。水人が散らし、追い払う。水人に感謝。お家帰れば、お疲れ水人、
戻る水人、見る私。安心、心ぽかぽか。他の教室、行く必要ない。水人、分かって欲しい。
「二階にある6組から8組には伝わってた。一階の1組から4組も時間の問題かな。三階から上の二年生には、他に手段が必要かもね」
「……もっと楽しい話、私としよう……」
口コミの結果と課題、話す水人。でも都度対処、それで良い、私は思う。だから拗ね、プイっと横向く私。そんな話は、イヤと口にする。
「ふふ、降参。じゃあ、何の話をしよう?」
「……今朝の食事、感想……」
水人、甘く微笑む。胸がキュっとする私。驚かされ、話題思いつかない。とにかくと思い、朝食の話、持ちかける。ご飯、水人と私の分、四月から私担当。祖母様、粋な計らい。
「一美ちゃんの作る食事はいつも美味しいよ。特に今朝は
「……ありが、とう……」
定番の焼き鮭、朝早く、母屋の台所、使用人に混じり、一匹捌く私。使用人に火加減、教わる私。でも、白米とお味噌汁、使用人が作る。すべての調理は、できない。手際、まだまだの私……漏れる溜息。でも、副菜のサラダ、千切るは私。
褒められ嬉しい、想い込み上げる。でも不意の、私への声掛け。
「ねね、清川さんも、朝ごはん、作るの?」
言葉を放つは、早坂莉緒。振り向き見ると、ニコニコ顔の早坂、さん。目論見のための、交際宣言。それで教室、騒がしく。鎮圧のため、気を放つ私。それに気付く、早坂さん。だから水人、警戒対象と言う。
……何用?
内心、首を傾げながら、私はコクリ頷く。
「私も料理するんだけど、焼きじゃけって難しい?」
「……教えられるほど、分かっておりません……」
今朝も焼き加減、使用人の見立て。まだ私も、焼き加減、納めていない。難しいとも、易しいとも、言えない。そんな返事、私はする。
「そっかぁ。もし覚えたら教えてね。それに教わるだけじゃ悪いから、聞きたいことあったら、遠慮なく聞いてね。それじゃ」
成果を得られなく、残念がるでもなく。手間を掛ける分、頼って欲しい。そう話を切り上げ、笑顔でこちらに、手を振りつつ、席に戻る早坂、さん。その姿が輝き、笑顔が煌めき、眩しく見える。たぶん今の私、ポーっとしてる。
「一美ちゃん?」
静かな私を、心配げに、覗き込む水人。水人が視界に入り、我に帰る私。その様子にホッとする水人。水人も横目に、早坂さんを追う。
「彼女、早坂さん、やっぱり要注意人物、かな? 昨日、一目見たとき、何かが違うとは思ったんだけど」
水人は早坂さん、警戒する。私は違うと、思う。でも早坂さんに、惹き込まれそうで、少し怖いと感じる。久しく覚える、他人への興味。その感情、落ち着かせるために、時間を多く、私は必要とする……
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