私立ライブラリー学園

三日月まこと

第1話 恋愛小説ちゃんは童話ちゃんとなかよし

「ねえねえ、恋愛小説ちゃん」

「ん-なに? 童話ちゃん」


 中庭のベンチでお弁当をたべていたら、一緒にいた童話ちゃんから声をかけられた。


「王子様について、どう思う?」

「王子様?」


 ここは私立ライブラリー学園という、中流クラスの学園だ。

 とても頭がいいわけでもなく、かといって悪いわけでもなく。

 風紀もそこそこ良くて、スポーツにもそこそこ力を入れていて。

 そんな、学園である。

 だから、王子様なんて雲の上の方の話をとつぜん童話ちゃんがしてきたことに、私は驚いた。


「恋愛小説ちゃんは、やっぱり王子様と恋愛したいでしょ」


 童話ちゃんが目をキラキラさせて、私(恋愛小説)を見た。


「いや……ねぇ」


 私はすこし目をそらす。


「ほら、王子様っていろいろ問題が多いからさ。恋愛対象ではないかな」

「なんの問題?」

 

 きょとんと私の目をみかえす童話ちゃん。


「たとえばよ。呪いにかかってたり、女癖がわるかったり(ハーレムとかもってるしね)するかもしれないし」

「えー? 王子さまは呪いを解いてくれるんじゃないの? 恋愛小説ちゃんはなにか王子様にトラウマでもあるの?」


 いや、別にないけど。王子さまなんて雲の上の人のことなんて考えた事もなかったし。


「童話ちゃんは、王子さまにあこがれているの?」


 私は少しこまった顔をして童話ちゃんに聞いた。


「王子さまみたいな人が、こんど転校してくるんですって」


 中流の学園に転校してくる王子さまみたいな人ってどんな人だ!

 私はつっこみをいれたくなった。

 取り敢えず、どんな人なのか童話ちゃんに確認をとってみる。


「どんな人なの?」

「うん! まだ噂なんだけど、鎖帷子くさりかたびらを着こんで背中に大剣をせおっているの」

「……は??」


 なんで王子さまが鎧を着て剣をもっているんだ。


「ち、ちなみに、何て名前なの?」

「ライトノベルくんっていうらしいわよ。それにね、恋愛小説ちゃん、その人すごくカッコいいんだって! いままでライブラリー学園にはいなかった超絶のイケメンなんだって!」


 私は童話ちゃんが面食いなのを、初めて知ってしまった。

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