第68話 ショッピングモール・アウロラ

悲報、うちの幹部がホモだった。


まあでも、可愛い顔をしているので良しとしよう。


ちゃんと床に来たので普通に抱いたぞ。抱き心地は意外なほどに悪くなかった。


本当に男かこいつ?いや、でもちんちん付いてたしな……。


亜人だからかな?よく分からない。


でも、二次性徴もきてないみたいだし……、ああ。


俺は、ベッドの隣で寝ているアランに解析の魔法をかけた。


ホルモンバランスが……、若干女寄りだわこれ。


「アラン、おはよう」


「あっ……♡おはようございます、エグザス様♡」


「お前、ホルモンバランス弄ってないか?」


「ホルモンバランス……、ああ!はい、女性化の術式を作って、自分に魔法をかけていますよ」


あ、やっぱり。


「ふーん。本当に女になりたいのか?」


「エグザス様のお望みのままに」


うーん……、まあ、男の幹部も欲しいような気がするけど、うーん……。


オカマは強キャラの法則!と言いたいところだが、こんな艶のあるお耽美な美少年はオカマと言うよりかは男の娘とかと呼ぶべきなんだよな。


「お前はどうしたい?」


「エグザス様に愛されるならば、己の性別になど拘りはありません。ですが……」


「ですが?」


「男性同士で愛し合うのは、倒錯的で素敵だと思いませんか♡」


アッハイ……。


まあ、うん。


じゃあそれで良いんじゃないかな。


海外生活が長いので、今流行りのLGBTだのHTMLだのB.S.A.A.だのS.T.A.R.S.だのと言われても、ハイハイ、期待のニューフェイスねと流せる領域にあるぞ俺は。


とりあえず、体調と相談しながらやれよと命じておく。




さて、うちのホモの子はとりあえずそれで良い。


箱物は昨日の夜に建てて、現在は大騒ぎになり、王都の近衛騎士団がスラムに雪崩れ込んできたが、俺はそれを工事用の魔法で押し出して追い出した。


うるさいので、準備中と看板も立ててやる。


で、一週間待って……。


再び、幹部を招集。


「はい期限でーす、データファイル提出してー」


俺は、幹部達から受け取ったデータを見る。


ほーん、ふーん、へえ。


よし、見た。


「じゃあまず、エイダからプレゼンをしてもらおうかな」


「はい!」


で、プレゼンを聞いて。


「じゃあ、お前らの設計図通りに店を作ってくるぞ。利益を一番上げたやつが勝ちな!」


「「「「はい!」」」」


プロジェクトが動き始めた……。




はい。


じゃあ早速、ショッピングモールの内装を作っていきます。


うちの秘密結社の公式マークである、『円柱に球体』……アルキメデスの墓と呼ばれる図形の組み合わせを、青地に金色で描き、その上に更に『ショッピングモール・アウロラ』と書いておく。


「思いっきりうちの名前出してるけど、良いの?」


憂いを帯びるフランちゃんに。


「良いんじゃね?うちもサメ殴りセンターとかテンプル騎士団みたいに表の顔が欲しいなーって思ってたし」


俺はこんな返答をお返しする。


「は?」


「秘密結社が馬鹿正直に裏稼業だけやってるなんてアホだろ。表の顔、民間での立場を持っておかないと」


「あ、あー、それなら分かるわ。隠密なら、その地に溶け込ませる為に何年も前から仕込んでおいて、その地の仕事に就かせるものね」


流石は武闘派貴族の娘。


その手の話はすぐに理解してくれるな。


で、もうエリアは作ったんだが、傾向としては……。


エイダとベティが、飲食店。


しかし、エイダの場合は、落ち着いたカフェのような高級志向な、小洒落た店舗を作っていた。


貴族や富豪相手に、高級品を少数売って稼ぐブランド商法を提言してきたな。


ベティの場合は、イートインとは言わずテイクアウト可能な、安価なフードコートのようなものを提案してきた。薄利多売ってことかね。


一方で、フランシスとユキは軍需品。


しかしフランシスは大型の護衛ゴーレムや作業用の土木ゴーレムなどの大型機械を。


ユキは個人携行用の武具や魔法のタリスマンなどの小物を提案。


そして、グレイスとアランは雑貨店。


グレイスは教会と言っていたが、崇めるべきは教会の教えであり教会そのものではないとして、聖書を安価に売る為の印刷機を配置。つまりは本屋を。


アランは、生活に役立つ家電みたいなマジックアイテムを売る、家電コーナーとコンビニの中間みたいなのを提示してきたな。


んー、性格が出るねえ。


エイダは純粋に、ガキの頃から美味いものばかり俺が食わせてやっていたから、それに慣れているだけなんだろうが……。


それでも、高級品を少数、分かる人にだけ売るってのは、実はコミュ障のエイダの性格がよく出ている。仲良くなると凄く懐いてくるってところも出てるな。


ベティは俺の狂信者だが、孤児達の姉貴分として、腹一杯雑に美味いもんを皆に食わせてやろうという優しさがある。


ここで求めるのが、アランとは違って食い物なのが女らしさか?


フランシスは分かりやすいな。代々、鋼鉄で築城し敵を阻む術を受け継いできたような魔導師の家系らしい、質実剛健な作業機械。


売れる売れないとかより、良いものなら売れるというナイーヴな考えをしているあたりがアホだがまあ可愛いのでゆるすよ。


ユキの場合はもっと実用に寄っていて、丸腰でも装備できる腕輪や指輪型のバリア発生装置みたいな魔道具や、毒物探知機のようなネックレスなどが多い。


個人戦闘、ゲリラ戦とかが得意らしいから、個人携行できるレベルの役立つもの……、特に貴族や金持ちが欲しがりそうなグッズを売るんだと。


フランシスより頭は回ってて偉いね!


で、グレイスはやっぱり教育方面に力を入れたがっている。


特に、俺がスラムのガキでもこうして色々教え込めばなんでもできるようになる!ってのに感動したらしく、俺の教えを広めて、世の中を少しでも良くしたいという無限の善意がある。


往々にして、人に知恵を与えると碌なことにはならんと地球の聖書にも書いてあるものなのだが、まあそこは後で痛い目見て勉強すりゃ良いよ。


アランは……、アレだな。自立心があるな。そこは男らしい。


孤児達に手に職をつけさせてやって、例え道を違えても食っていけるようにと考えているのだろう。


ベティは孤児を保護して食わせてやりたいと女らしく思っているが、アランは孤児を鍛えて巣立たせてやりたいと思っているんだ。そこだけは男らしいな、ベッドの上では完全にメス堕ちしてるのに。


そして俺は、ジェネレートマジックを使って、一階の大フロアに大型のスーパーを作った。


まあ普通に生鮮食品並べて、飲み物や調味料、大袋入りの菓子類に文房具や簡単な衛生用品に医薬品などを並べる。


「むー、それは少しばかり、ずるくはなかろうか?どう考えても一番売れるのはすーぱー?のフロアでは?」


ユキが言うが……。


「それは分かっているから、俺はランク外でいいぞ。ショッピングモールには必ず、こういうスーパーみたいなのがあるから、これは仕方ない」


と言い返しておく。


とにかく、これで準備は万端よ。


「さあ、ショッピングモール・アウロラ!開店だ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る