魔族の娘、マルグリッド ~人間になりたい魔族の娘は、進化の秘薬を求めて旅立ちます~
円香
第1話 魔族の娘
「ねぇ、どうすれば人間になれるの?あたし、早く人間になりたいのに~」
「そう言ってもなぁ……マルグリッドは、魔族だしなぁ……」
いつも、いつも同じ答えだ。火竜のリスタルクは同じことしか言わない。
元冒険者のヴァズと結婚したいと思っているのに人間と魔族とじゃ結婚は無理~とか、種族が違うとか、マルグリッドには訳の分からないことばかり言う。
マルグリッドは、火竜のリスタルクが言うには、魔族の最後の生き残りらしい。
一緒に暮らしているヴァズは、元冒険者で、二十代の後半に冒険者を引退して、このサセット山の頂上へやって来た。
今は、山で採れる薬草を煎じて、村人に提供して暮らしてる。
ヴァズの煎じ薬は、評判が良い。
おばあちゃんの腰痛が治ったとか、風邪をひきにくくなったとか、とにかく村の人に感謝されてる。
だったら、人間になる薬もあるんじゃない? 安易にマルグリッドは思っていた。
「聞いたこともない」
リスタルクは、元々この時代の竜じゃない。だから、色々なことを知っている。
世界がもっと若い頃は、ずっと闇の力が強くて光の力は弱かった。
でも光の神が現れて、信仰する人々がずっと多くなって、この世は光の力で満ち足りるようになったのだ。
でもマルグリッドは、リスタルクが言うには、闇の眷属で人間のヴァズとは結婚ができない。
確かに、マルグリッドが山にやって来て二十年はたつ。
でも、年を取っていくのは、ヴァズだけだ。マルグリッドは、ずっと七歳くらいの幼女の姿だった。
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