彼シャツ
夕日ゆうや
何書いているのか、分からなくなりました。
世間一般には〝彼シャツ〟なるものがあるらしい。
あるらしい、という曖昧な答えになるのは俺は見たことがないからだ。
見たことがあれば、それは実証できていると言えよう。
だが、忘れないで欲しい。
彼シャツは彼氏のシャツを着ていることで発生する一つの状況下であるということを。
その事実を知るものは少ない。
少なくとも俺は知らない話だ。
都市伝説のように一人歩きする、この言葉だが、実際にそれを目にしたら、人はどうすればいい?
人は生きていられるのだろうか?
この話はそんな〝彼シャツ〟に対して心血注いだ
年上の女性が一人歩いていた。反対車線を走る車が盛大に水たまりを踏み抜き、大量の水を女性は浴びた。
後ろを歩いていた俺にも水がかかった。
が――。
これはチャンス!
「大丈夫ですか?」
俺は彼女に話しかけることに成功した。
次は俺の家に誘えばいい。
「大丈夫よ」
いいペースだ。
「なら、ウチで服乾かしていきますか?」
「そんな、悪いわよ」
「いいえ、自分も塗れたので一石二鳥です」
「……分かったわ」
どこか訝しげな視線を向けてくる女性。
ちょっと強引すぎたか?
俺はシャワーを浴びることを薦め、俺のシャツを風呂場前に置く。
くくく。
罠にかかった獲物を舐めるように観察する俺。
「ちょっと小さくない?」
女性は俺のシャツを着て、風呂場から出てくる。
シャワーを浴びたことで地肌が赤らみ、さらには惜しげもなくシャツの隙間から押し上げる膨らみ。白いシャツは彼女の色味と相まって大変エッチだと思います。
これは……!
「想像以上だ!?」
「ふふ。変態さんね」
年上の余裕を見た。
俺はこの日、〝彼シャツ〟の暴力性を見いだした。
彼シャツ 夕日ゆうや @PT03wing
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