詩¦地球儀

鈴鳴ノ館

08

なないろに焼き付けた夜を

対の膜に映し出す



地球儀をすべらせて。



からりからり

今夜も動きだした

球体の御伽噺


ひと粒の涙さえ

命を閉じ込めた琥珀さえ

ガラクタと堕ちてしまうのならば

世界にただひとつのガラス細工は

私の手のひらでつつめばいい


からりからり

遠心力でうつつを溶かす

ただ感じるのは

太陽に焼かれた右折路

扁平を知らぬ四方山話


高い棚には手が届かないから

鏡をふせて

羽をしまって

血をめぐらせて

ただ

耳をかたむけて


そうしていれば

どんなに繰り返しても

必ず同じ場所にかえってくる


からり、


動きをとめた地球儀は

ちいさな地球を吐き出した

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩¦地球儀 鈴鳴ノ館 @suwaswsw

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ