魔獣の森の眠り姫
篠キニコ
第1話 始まりの森
薄暗い森の中。
目には血が流れ込み視界はほぼない。
自分がなぜ歩き続けているのかも分からない。
体の感覚はもうない、どこを怪我しているかも生きているのかさえも疑問だ。
俺はどこへ向かっているのだ?…死に場所を探しているのか…?
かすかに見えている左目の視界の先にぼうっと光っているものが…何か白いもの、魔獣か?人?…いや、人の形をしているが真っ白だ…精霊?
まさか天使か?…天から迎えに来てくれたのか?
ああ、やっと楽になれるのだ…
足を止めたその時
天使はこちらに矢を放とうとしている!矛先は真っすぐに額を狙っている!!
「チッ…右へ!!」
鋭い声にハッとして右によけようとするが、体が思うように動かずそのまま地面に倒れこむ。
天使が放った矢はこめかみをかすめ後ろの何かを射抜く。
ドスッという鈍い音と共に何かが倒れる、俺はそこで気を失った。
オレンジ色の炎、パチパチと薪のはじける音、暖かい。
ただただ目の前の炎を見つめていた。
何か気配がするが全身の痛みで動くことができない、その気配が何なのか今の自分にはどうすることも出来ない。
しかし殺気は感じられない、それが何かを見分けることも出来ないままどうしようもない痛みと疲れで睡魔が襲ってくる。
そしてまた眠りについた。
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