第4話


「うわ、気味が悪いな」


 その屋敷は、雑草に埋もれ、泥がつき、見た目はとんでもないものになっていたが、中もそれなりだった。


 窓は割れて壁にはひびが入り、見るも無惨な姿になっていた。


 扉は、軋みながらもゆっくりと動いていた。


 ここか、その地下室は。


 小さな扉の奥に地下へと続く階段があった。


また、いつ壊れてもおかしくないような音を立てて、階段を降りる。


目の前には、重厚そうな扉があった。





 その扉だけは、錆びていなかった。

 今もなお、緩やかに動き軽い力で開いた。


 中には、一つのヴァイオリンが入っていた。


 その横に小さな紙も。



マジシャン

あなたを表現する楽器。



 そう書かれていた。そうだ、ここに世界最高峰のヴァイオリンがあるのだ。

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