第三章 砂漠の国で宝探しするけど本当の宝は仲間達との友情なんだよなみたいなぬるいオチは許されないよね

第31話 この世界の連中は剣技も下手っぴだなあ

「やっ、やめ、やべ……かぽぺっ?!!!」


「バーン!汚い花火だぜ!あれなんて名前だっけ?確かキュイだっけ?まあどうでもいいけどな。あの漫画は確かに世代だし、海外人気も凄かったから結構話せるんだが……、俺は白い書の方の漫画が好きだったなあ。100%中の100%!って言って俺も急にマッチョになりてえな。結構鍛えてんだけど、あの形の肩の筋肉にできねんだわ、ははは!」


なんか知らんけど、俺に喧嘩売ってきた公爵とやらを殺している。


今日は、空の精霊『ティアマット』に命じて、人体に空気を注入して破裂させる催しをしたぞ。


いやあ、この世界は情報の伝達も遅いし、正確性も低いし、何より「情報を集めて精査すること」に対する意識が低いからな!


要するに、俺が残虐な魔法で逆らう者を抹殺した!と言う話も、王都から出ればあまり広まっていないのだ。もしくは、知られていても信じられていない、とかな。


それに俺は基本的に、突っかかってきた貴族とか違法集団とかがメインターゲットだからね。


まさか貴族を殺す奴なんていないだろう、という固定観念は覆しにくいのだろうよ。


だからこうして、俺が大々的に活動していても、馬鹿が湧いて出るのは仕方がないことだった。


今日はなんだか、飛行大陸の統治権を寄越せと使者を出してきたアホがいたので、そいつの目の前に転移して使者ごとぶち殺してやった。


舐められたら殺すスタイルは基本だな。


だが俺も無秩序に殺しまくっている訳ではない。一応のルールがある。


まず、殺すに至る条件は一つ。


俺と、その所有物に害意をもって何らかの被害をもたらしたこと。


前に殺した貴族は、愛人の実家の商店で暴れて略奪をしたから、殺した。


今回は、飛行大陸を寄越せとの命令に叛いた時、騎士を使って攻撃をしてきた。だから殺した。


そして、殺す範囲。


殺す範囲は、害を齎した実行犯全てと、指示を出した奴本人、そしてその指示を素通りさせた中間管理職の奴。


今回では、攻め入ってきた騎士全てと、騎士に命令をした家令と使者、その家令と使者に命令をした公爵本人。これを全て、残虐な方法で、街のど真ん中で処刑したのだ。


この世界では、法律は執行するだけの物理的な力を持つ者が決めるのだ。であれば、この殺しのルールは、俺が定めた俺の法なのである。


実はこの俺ルールも、他の貴族と比べればまだお上品だったりする。


何せ俺は、相手が誰でも対応を変えたりしないからな。


この世界の刑罰は、「なんか気に入らんから必要以上に罰を与えまーす!」みたいな、権力者のお気持ちによるリンチである、という場合が非常に多い。


法というのは、誰がやってもこの罪にはこれだけの罰を与えますよ、というルールなのだ。それを明確に公言している俺は、実は紳士的な存在だった。


どんなクソ外道でも罪は重くせず、どんな聖人野郎でも罪は軽くしない。これが法ってもんよ。


もちろん、殺し方が残虐で、あとはそもそも殺すレベルの話ではない(普通は殺す前に交渉だので手打ちにするのに殺している)という欠点はあるのだが、少なくも「分かっている」貴族からは、「どこまで踏み込んでいいのか」のラインが明確だと一定の評価があるらしい。


少なくとも、俺から能動的に殴りかかることはないからな。その点でも信用されてる。




さて、そんな俺は今、弟子を連れて更なる冒険の旅へ出ていた。


いやほら……、なんかこう……、飽きてさあ。


逃亡者生活が長過ぎて、一カ所に留まっているとなんか調子狂うんだよね。


弟子のザニーもちゃんと太らせてから食った(意味浅)んで、畜生特有の多胎で五人くらい産んだぞ。


リアル十四歳の母だぜ、勃起が止まらんね!


いやあ、なんかよく獣人ロリ奴隷を買い漁って、手を出さんで妹扱い(笑)するキモい話とかあるけど、ぶっちゃけアレ嘘だよな。


手を出してOKな穴ボコがありゃ、まともな男なら突っ込むだろそりゃ。


ロリ専じゃないが、上は三十そこらから、下は十代前半まで、幅広いオナホがあって使わん方がおかしい。


……いや、ビビって使えんのか?


テメェに惚れてる女の何が怖いのか分からんが……、童貞ってかなしいね。


女なんて定期的に会って会話してセックスしてたまに贈り物するだけで喜んでくれるチョロい生き物なのに、そんなに難しいことあるんかね?


まあその辺は良いや、とっとと旅立つぞ!


「へへへ……、師匠と二人でデートでやんす!」


んー!


この世界じゃ命懸けの旅だが、俺に助けてもらえると思ってバリバリ調子乗ってる弟子!


かわいいね!


俺が見捨てたら生きる術を失う雑魚のゴミだけど、俺は見捨てずに生涯侍らせてやるので何の問題もないな!


「ザニー、おいで」


「はいっす!」


恋人繋ぎ〜!


んー、良い!


二人旅なんてクッソ危険だ。


この世界の旅人でポピュラーな存在として「巡礼者」が挙げられるんだが……。


巡礼ってのはまあ、神殿を巡って(そういや多神教っぽいなこの世界)神様にお祈り行脚する感じのアレだな。マジで神いるし、本当にご利益があったパターンも多いらしいんで意外と馬鹿にできんってさ。


で、その巡礼者だが、こいつらは基本、商隊(キャラバン)とかの相乗りってか、他に移動中の大集団に小判鮫が如くくっついて移動するのが普通だ。決して、一人二人で歩いて行動なんてしない。


何故か?


外の世界がクッソ危険だからである。


モンスター!野盗!通り魔!妖精!色々あります危険な連中!


街の外に出りゃあそういうのとランダムエンカウントするこの世界で、レベル1の村人が単独行動なんてニアイコール自殺って訳だな。


故に、キャンプ用品を担いで、チビロリのリカントの女といちゃつきながら行動する俺は……。


「へっへへ……!カモが来たぜぇ」


「良い格好だな、金持ってそうだ」


「ひひひ……!」


まあ当然に襲われる訳だな。


うん、誘い受けなんだ。すまない。


「おっ、良い格好に見えるか?モスグリーンのカーゴパンツにラッシュガードと半袖シャツ、登山用スニーカーとサファリハット。いつもこれで旅してんだ」


「あぁ……?へへへ、こいつ、状況が分かってねえのか?」


ニタニタ笑いながら、盗賊的な人達がナイフを抜いて片手で弄ぶ。


「とんでもねえ、待ってたんだ!」


俺は言った。


「最近は、パーティー中に舐めた貴族に即決闘を申し込んで擦り下ろした(物理)ら、全く喧嘩を売ってもらえなくなっちゃってな……。つまらないから国を出て、こうして旅してるんだ。だから、喧嘩を売ってもらえるのは非常にありがたい」


「何言ってんだ、こいつ……?」


「水の精霊ニンフ召喚。彼は熱烈なキスをお望みだ、好きなだけ吸ってやれ」


『はぁーい』


俺は水の精霊を召喚し、盗賊達の中にある水を操って、吸い取った。


「か、あ?ぉあ……?!」


「うわっ、凄いなこれ!気分はアラバスタ編だ!カラッカラに乾いたなあ。やっぱりレベルが半分以下の存在にはどんな無茶な攻撃でも通るから楽だわ〜」


水の精霊ニンフは、キスと同時に盗賊の体液から水分のみをギューっと搾り取る。


すると当然、盗賊の肉体は即身仏よろしくミイラ化。エジプトの神秘だな。


その瞬間、たっぷり三十秒かけて、人間が乾いて死ぬシーンを大公開してやったら……。


「あ、ああ……!」


「ひっ!ひいいっ!たすっ、助けて!」


「く、来るなあっ!あっちいけえっ!」


盗賊共は、腰を抜かして怯えた顔をし、必死に命乞いをしてきた。


「ん、ん、ん、ん、ん……。そりゃ面白くないな。気持ちよく俺に殺されてくれよ。俺は他人を痛めつけて殺すのが大好きなだけで悪人じゃないんだ、悪者以外殺さない正義の味方でね。そういう風に降伏されちゃうと非常に面白みがなくてダメだな死ぬまで抵抗してから苦しんで死んでくれ」


そう言っても、何故か立ち上がってくれない盗賊共。


んー、こりゃいかん。


……そうだ。


俺はおもむろに、日本刀を召喚して抜き放つ。


「剣で勝負しよう。剣以外に術は使わないと約束するよ」


「ひ、ひい……!」


「よし!じゃあサービスだ!俺に傷を一つでもつけられたら、見逃してやるよ!それならどうだ?なあ?」


「ど、どうする?」


「ど、どう、するも、こうするも……!」


「そうしなきゃ殺されちまうぜ!」


「術師なら、剣なら勝てるかも……!」


「やっ、やるぞ!一斉に襲い掛かれ!」


「「「「うおおおおっ!!!」」」」


んーーー!


良いねぇ!


よし殺そ。


「抜き胴」


「あギッ?!」


「袈裟斬り」


「ひああっ!」


「小手、面」


「ぎゃあっ!」


「突き」


「ぎぃっ!」




「すまねえ、剣道四段で居合道は三段なんだ」

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