第2話 原作主人公消えて草
入学試験を受けるために体育館までやってきた。
ちなみに開始時間は決まっているのでそれに間に合うようにきた。
周りを見てみると制服が同じ中学のヤツらがいた。
しかし、俺はこいつらのことを知らないので特に話すことも無く試験を受けることにした。
試験の内容は簡単なものだ。
中学までに培ってきた魔法なんかを利用して試験用の人形を破壊すればいい、のだが。
問題点が1つ。
(この人形にコアはない)
よって俺のスキルは使えない。
コアがない理由だが、俺のようにコアを直接攻撃出来る人間が存在しないからである。
だから。
"表向きには存在しない人間への配慮をしていないだけだ"
(剣使うしかないよなぁ)
試験用の剣を取って俺は人形を攻撃し始めることにした。
ちなみに俺は魔法も使えるんだが【魔法補助道具】というものを使う必要がある。
だが、俺の魔力が強すぎて道具が使えば壊れると思うので使えない。
・
・
・
試験も終わった。
しかし結果は見なくてもわかる。
(むりだな)
やることももうなくなったし、無駄にストーリーを改変するような行動は辞めたいのでそろそろ帰ろうと思うのだが、その時だった。
「おいおい、あの西郷が伸びてたってまじかよ」
「マジらしいぜ。アイランド学園に入っても活躍期待されてた西郷が伸びてたってよ」
「しかも魔力が使えなくなったとかなんとか言ってたなぁ。今から試験だってのに受けれないぜあいつ。いい気味だぜ」
「だな。それよりも俺らも学園でまであいつにいじめられなくて良かったじゃん」
「まじでそれ。誰か知らんけど西郷やってくれたやつには感謝だわ」
そんな会話をしながら2人の生徒が入ってきていた。
2人を見ていると制服は全身ズタボロだった。
どうやらこの2人はあいつと同じ学校でいじめられていたらしい。
ま、このまま話を聞いても意味の無いことだ。
俺は学園を後にすることにした。
◇
時が流れて……
3月。
俺は学園の合格発表を見に来ていた。
まずは【霧崎 乃亜】。
俺の名前を探した。
あった。
最後の方に。
クラスは1-8
ちなみにだがこの学園には実力で決まる序列というものごある。
クラスはその序列で決まる。
序列が高ければクラスも高いって感じ。
俺の場合序列も低いのでクラスも低いのだが。
俺はとりあえず次に原作主人公の名前を探すことにした。
たしか【高槻 優斗】みたいな名前のはずだが。
1-8を見た。
ない。
(あれ、なんでないんだ?)
原作主人公は1-8だったはずなんだが。
もしや。
他のクラスか?
そう思って他のクラスも確認してみたけど、ない。
(あれ?)
俺が不思議に思っていると
会話が聞こえてきた。
「に、兄さんの名前が無いっ?!」
女の子の声。
そっちを見てみると原作主人公の妹【高槻 芽衣】がいた。
そして、その横には尻もちをついてる原作主人公の姿。
「は、はは……芽衣。俺合格しなかったみたいだ」
「兄さん……まさか落ちてしまうなんて」
妹の方は悲しそうな顔をしていた。
(なんで受かってないんだ?合格してないのかよ)
芽衣が口を開いた。
「そういえば兄さん。西郷くんも落ちたみたいですね」
「あー?あの有名な西郷が?」
「はい。なんでもコアを損傷したとかって話で。合格できなかったみたいです」
そんな会話を兄妹がしていた時だった。
「おっしゃぁぁぁぁぁ!!!!俺1-2だ!」
「俺は1-3だぞぉぉぉぉ!!!」
みたいな聞き覚えの無い声。
振り返るとそこにいたのは、入学式のときに西郷について話していたモブ2人だった。
(あのふたり原作ではいなかったんだけどなぁ)
たぶんだけど俺が西郷を倒したことによってストーリーが変わってしまったんだと思う。
西郷が消えた代わりにあのモブ2人が受かって、本来ギリギリで合格するはずだった原作主人公が落ちんだと思うけど。
(これ、ストーリーどうなるんだろうな?主人公さんが消えてしまったぞ)
うーん。
うっかり本編の敵キャラを倒してしまったことでこんな影響が出てしまうなんて思ってもいなかったことであった。
「ねね、乃亜?」
いろいろ考えていたらサヤカが声をかけてきた。
「そろそろ帰らない?」
「あー、うん。そうだね」
いかん、考え事に没頭してしまっていたようだ。
今日のところは帰ろうか。
合格発表も見た事だしな。
そう思って帰っているとサヤカに声をかけられた。
「あ、あのさ。ちょっとそこ、寄ってかない?」
サヤカが指さしたのはファストフードだった。
「いいよ」
俺たちはファストフードの店に入って注文して2人用の席で向かい合ってた。
(普段はこんなとこ誘わないのにな)
原作でもこの組み合わせは正直珍しかった。
(なんというか乃亜ってサヤカに嫌われてた感じしてたしなぁ)
たぶんだけど原作では西郷がサヤカをナンパした時助けなかったんだろうなって思う。
原作の乃亜はそんな感じのキャラだった。
女には興味無いからどうでもいいみたいなそんなキャラ。
とにかく、自分が目立たないことように徹底してたってイメージだった。
じーっと考え事してたらサヤカのことを見つめていて、サヤカは顔を逸らしてしまった。
「み、見られてると恥ずかしいんですけどっ」
なんて言ってくる。
「すまん、すまん。考え事してたよ」
そう答えるとサヤカは聞いてきた。
「なんの考え事?」
「あー、サヤカのこと」
って言うと恥ずかしそうに聞いてきた。
「私の事?」
それから彼女はゆっくりと息を吐き出して口を開いた。
「乃亜。私乃亜のことが好きです。付き合ってくれませんか?」
俺はポテトに伸ばした手を止めた。
凍ったように止まった。
「へ?なんて?」
「付き合って欲しい」
(なんでそうなんの?!)
え?えぇ?!どゆこと?!
何がどうなってそうなんの?
原作では原作主人公のこと好きになってたのに。
っていうか、乃亜もその恋を応援することにしてたのに。
(なんで恋愛対象が俺になってんの?!)
いろいろ考えてみたけど。
「俺でいいのか?俺はいいけど」
「乃亜がいい」
というわけで、俺たちは付き合うことになった。
なんかもう、順調にストーリーが破壊されてるような気がする。
めちゃくちゃすぎるよぉ、ストーリー。
このまま進めていって大丈夫なのか?これ
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