第2話 少年時代
昭和初期、農家に生まれた3男坊であった祖父は3番目に生まれた男の子という意味で三郎と名付けられた。運動神経にも恵まれ、小学校の時は短距離走、マラソンどちらでもよい順位になっていたとの事である。
小学校のマラソン大会で、祖父の人柄を示す一つの物語がある。
大会で、最後まで祖父ともう一人の男の子が接戦となり一位を争っていた中、もう一人の男の子が祖父を抜き先頭になったが、最後の最後でコースを誤り、コースを外れゴールとは逆方向へ走り出してしまった。それに気づいた祖父は、大きな声でその子の名前を呼び、「そっちじゃない、こっちだ、早く戻れ」と伝え、その子が戻るまで、その場で立ち止まり、戻ってきてから再び二人が走り始めたという事だった。
この話は、祖父の葬式の日に友人代表の方から聞いた話であり、とにかく馬鹿が付くほど真面目だった人だったらしい。その時、孫の自分にも敬語で話す謙虚な祖父の姿を思い出し、祖父らしいなと思った事を覚えている。
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