騒ぐ市長
にゅうめんマンは、どでかい足で蹴られた衝撃に苦しみつつも気合ですばやく立ち上がり、続けて蹴られることを回避した。
「やりやがったな」
にゅうめんマンは助走をつけて2度目のドロップキックを繰り出し、反撃した。この攻撃はそこそこ効き目があり、市長はふらついて尻もちをついた。そこに、にゅうめんマンは次のキックを打ち込んだが、パワーが足りなくて市長の手で受け止められてしまい、返り討ちのパンチをくらった。だが、市長が立ち上がった瞬間に、にゅうめんマンもすぐにパンチを打ち返して腹を殴った。
この頃には、2人は猛烈な攻撃を何度も受けたせいでダメージが蓄積し、体力も消耗して、動きに切れがなくなってきた。そのおかげで攻撃もよけられにくくなった。
「ひょろひょろのちびのくせにしぶといぞ!」
市長は大きな拳でにゅうめんマンの頭を殴った。
「くっ……お前がでかくてムキムキすぎるんだ!怪物市長め!」
にゅうめんマンも腹を殴り返した。それから2人は何度か仲良く殴り合って一緒にボコボコになった。
「そんなに何度も腹を殴ったら痛いだろ!ワンタン野郎!」
「殴ってるんだから痛いに決まってるだろ!しかも、ワンタンじゃないと何度言ったら分かるんだ、アホ市長!そんあアホで市長が務まるのかよ!」
「現に務まっとるやろがい!」
ここで市長が打ったパンチをにゅうめんマンは受け止めたが、市長はそのまま、両手を使って、にゅうめんマンを力ずくで押し倒そうとした。にゅうめんマンも対抗して押し返し、お互いの両手を握った状態での押し合いになった。
「ぐぬぬぬぬぬ!!」
両者の力は
「なんの!」
市長もそれに対して全力でひねり返したが、急にとんでもない力をかけたせいで肩を脱臼した。
「ぐあああっ!」
市長は慌てて手を放し、すぐに肩の関節をはめ直した。
だが、その激痛に刺激されたのか、相手を力で負かせなかったのが悔しいのか、はたまた力いっぱい戦い続けた結果戦意が高ぶったのか、市長は極度の興奮状態になった。
「むおおおぉぉん!!むおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉん!!!」
地獄王市長は地面を激しく踏み鳴らして、ものすごい雄たけびを上げた。大地は鳴動し、その声は地平線の先まで届いた。
にゅうめんマンは市長のすさまじい迫力に感嘆したが、それはそれとして、興奮した大型動物に近づくのが危険であることは常識なので、大きく距離をとって様子を見守った。そのうち、市長があまりやかましく騒いだせいで、離れた所でカメ用の池を掘っていた市民ボランティアとその監視者たちが、様子を見にわらわらと集まって来た。
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