第13話

 「じゃあ、地蔵っち。これからもよろしくね」

 岸辺にたどり着いた私たちは、今後のことを話し合った。私は一度現世に戻り、人間に変化してスマホの充電器を大量に購入することに。アカネはロケハンがてら、とりあえず死後の世界をあれこれ巡ることになった。


「あの世の映像とか、一千万回再生は余裕でいくわよきっと」

「あんまり派手に動かないでくださいよ。追手が来るかもしれないし」

「地蔵っち、もしかして仕事辞めたこと後悔してる?」

「何千年も同じ場所にとどまる地蔵は、変化を恐れる封建的な性格なんです」

「まあ大丈夫だって。私も会社勤めなんて一度もしてないけれど、なんとか生きてるし」


 死人のアカネは無責任に笑っている。その様子を見ていると、確かに緊張しているのが馬鹿みたいに思えてきた。人間を救うはずの自分が、反対に救われている。同僚が聞いたら、地蔵の面汚しと非難することだろう。そんな恥ずべき経験をしたのだから、もう恐れるものは何もない。

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