乗務員休憩室にて

徳島ロジスティクスでは日常の光景やけん

 昼過ぎに一旦もんてきて休憩室に立ち寄ると、なんや珍しくエビちゃんが来とんが見えた。

 エビちゃんは大きな買い物袋を持っとって、入り口でなんや和にわあわあ言われとった

「神田橋さん、一人で全部食べてしまうんやもん」

 エビちゃんは小さな声でほんなことを言うた。ははあ、お菓子やな。ほれを持ってきても、和が全部食べてしまうと。

 エビちゃん、ほれは正解や。

「人聞きの悪いことを言うな! ちょっとは残しとうわ!」

 休憩室の中からドアを開けとった和は、ほう怒鳴った。しゃあないやっちゃな。

「和、エビちゃんをいじめるんはやめえや」

 和は僕の姿に気が付くと、ばつの悪そうな顔をした。

「別にいじめとらんし?」

「ごめんよエビちゃん、和も悪気はないんよ」

 僕がほう言うと、エビちゃんは僕の目を見て、ほなけどまだ少し不安そうに「わかりました」と言うた。

 和は不機嫌にしよったけど、こっちはほっとったらすぐに元の調子に戻るけん。

「せっかくお菓子持ってきてくれたんやし、お茶でも飲んでいったら?」

「ええんですか?」

 僕が誘うと、エビちゃんは嬉しそうな声を出して、ほれから和の方を見て少し困ったような顔をした。

 すまんな、僕の教育がなってないもんやけん。

「なんでほんな顔するんな、入っていけよ」

 和は噛みつきそうな顔をして、エビちゃんの腕を引っ張って休憩室に引き込んだ。なんちゅうか、不器用なんかなぁ。ほれとも強引なだけか?

「僕がおいしいお茶淹れたあわ」

 エビちゃんがその辺に座ったんを見て、僕は紙コップを取り出した。

「俺が淹れたりますよ!」

 ほしたらなんでか、和が負けじとティーバッグを出してきた。

「いや、心配なけん僕が淹れるわ」

 僕がティーバッグを受け取ろうとすると、和は手を引っ込めてもうた。

「心配ってなんスか? お茶くらい俺が淹れますよぉ!」

 なんや和、普段は僕にやってお茶の一杯も淹れてくれんくせに、エビちゃんにええとこ見せようと思とんな?

「得意な料理はカップ麺ですとか言うとう子には任せられんなぁ」

「最近はレトルトカレーもできるようになったんスよ!」

「最近のレトルトカレーはチンするだけやないか」

 あんまり和がうるさいけん、いつもみたいにヘッドロックをかけたった。

「いつもしよんですか? 親子喧嘩」

 やっと笑顔になったエビちゃんが、ほう言うた。ほなけん僕も笑顔で、「ほうやで」と答えた。

「和んどらんと助けえや!」

 和が怒鳴ったけど、笑いを誘うだけやった。

 これ、徳島ロジスティクスでは日常の光景やけん。エビちゃんも覚えときよ。

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