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マロンが見つかったのは脱走から三日後で、ちょうど全ての試験が終わった時に祖母から連絡が入った。
急いで祖母のアパートに駆け付けると、マロンが部屋の中をウロウロと動き回っていた。少し痩せた気もするが、三日間ずっと外にいたにも関わらず汚れはほとんど付着していなかった。食パンを焼いたような毛並みも、思ったよりも艶やかだ。
もっとも、週二回だけの付き合いだったから、以前の姿を明確に思い浮かべることはできないのだけれど。まあなんにしても元気なら何よりだ。
その夜、私は祖母の家に泊まり、マロンの帰還記念に簡単な祝杯をあげた。祖母は日本酒を冷で、私は賞味期限が切れかけのビール缶をたらふく飲んだ。だらしなく酔っ払う二人にビックリしたのか、マロンは終始落ち着かない様子だった。まるで初めて訪れた家をくまなく探索しているみたいと、酩酊状態の中でふと思った。
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