蝶幾千
青い影からうまれた
黒い蝶は
色鮮やかな花を探している
すべての色を吸いつくして
ベンタブラックになるために
バニラの奥で羽化した
白い蝶は
ときどき透明になる
紅茶の時間に
良い香りを散華する
ドービニーの庭から抜け出てきた
アイリス色の蝶は
消えた黒ネコを
ずっと探し続けている
夕焼けに染まらない
オレンジ色の蝶は
逢魔が時の残照を跳ね返して
プシュケーと呼ばれる
紫の蝶は
夜にだけ羽ばたく
人々の魂を薄紫に染めて
月の空へ送るのだ
生まれるときに連れて来て
逝くときに寄り添う
蝶幾千
その色彩は
幻想の世を生きた証の色
https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16818093078674335070
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます