たゆたう景色

寒い朝に生まれた無数の露は

冷たいガラスにフィルターをかけ

窓の向こう側に

いつもとは違う景色を描きだす


朝日は小さな光の玉となって

駐車場の車の窓々に宿り

徐々に高くなる地勢にはりついた家々は

どこかの白っぽい島を思わせる


結露の向こうに広がる空は

青い粒子の集まりのようにも見える


この世界は光の粒でできている

そんなふうに教えてくれる水滴群を

無意味な図形を描いて指で払うと

微睡まどろんだような景色は

たちまち崩れ

幾筋にも流れる水の滴が

合流しては離れて落ちてゆく


そして

いつもの朝の景色が

幻のように姿を現わす


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16817330669728700112

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