第二章「170㎞/h」
サイバイガル・タイムズ 二〇三四年 第八号
『快進撃! 怒涛の荒波【青春レイド】!』
地獄の業火が立ち昇る。
初夏とは思えぬ熱き戦場が、今年も我らが学園国家サイバイガルを飲み込んだ。
さあ!
球技大会予選の結果は如何様か!
諸君の瞳にも業火という名の輝きを写し入れ、その詳細を熱き視線でもってご覧いただこう!
北グループ 予選結果
一位 【野球部】 (本選進出)
二位 【チーム・ムゲンインフィニティ】 (本選進出)
三位 【Sensational】 (予選落ち)
(四位以下省略)
北グループは下馬評通り野球部の比肩を許さない圧倒的な強さがそのまま予選成績全体一位を勝ち取った。
やはり競技内容が『野球』となった以上優勝はほぼ確実か。
しかし競技内容はくじ引きで決められたものなのでこれも致し方なし。
是非ともその圧倒的優位を捨てることなく勝ち進んでもらいたい。
球技大会の目的は、学生間の交流にあるのだから――。
南グループ 予選結果
一位 【陸上部】 (本選進出)
二位 【サッカー部】 (本選進出)
三位 【ザ・スクエア】 (予選落ち)
南グループはサッカー部と陸上部の一騎打ちが大変な盛り上がりどころだった。
サッカー部には優れた身体能力を持った人物が大勢いるのだが、陸上部にまさかの秘密兵器がいるとは誰も気付けなかった。
彼の名はここでは伏せておくとしよう。本選で諸君自身の目で確かめてほしい。
敢えてヒントを言うのなら、その人物は『ピッチャー』だと教えておこう。
西グループ 予選結果
一位 【ハイパー・デフレーション】 (本選進出)
二位 【カバディの会】 (本選進出)
三位 【テニス部】 (予選落ち)
西グループはあのハイパー・デフレーションが予選優勝を難なく果たした。
何故あれだけの逸材がこの漫画サークルに所属しているのかは甚だ疑問だが、とにかく下馬評通り一位通過だ。
カバディの会が予想以上の快進撃でテニス部を上回ったことには、西キャンパスの皆々も度肝を抜かれたことだろう。
ハイパー・デフレーションにはあと一歩届かなかったが、続く東グループの『あのチーム』が無ければ、間違いなく今大会最大の台風の目になったことだろう。
東グループ 予選結果
一位 【青春レイド】 (本選進出)
二位 【リリィ・スレイン親衛隊】 (本選進出)
三位 【THE・クリケット】 (予選落ち)
東グループには二つの台風の目が存在した。
なんとTHE・クリケットとバスケットボール部が同時に予選落ちしたのだ。
有名スポーツ部を敗退に追い込んだのは本大会が初参戦のとなる二つのサークルだ。
一つはあのリリィ・スレイン率いる親衛隊で、絶世の美少女と呼ばれた彼女の指揮に乗っ取り、最高のパフォーマンスを見せてくれた。
そしてもう一つが青春レイド。
あの七人目の
五人で試合を成立させるだけでも意味不明なのだが、なんと予選一位通過まで成し遂げてしまった。
これが人知を超えた『カース』の威力……!
中央グループ 予選結果
一位 【生徒会執行部】 (本選進出)
二位 【風紀部】 (本選進出)
三位 【奉仕部】 (予選落ち)
我々は酷い出来レースを目の当たりにした。
なんと、あろうことか生徒会は同グループの予選参加チームのうち風紀部と奉仕部をその手中に収めていた。
いや、そもそも両部は生徒会との繋がりが元々深かった。
証拠は無いが、風紀部と奉仕部は八百長によって生徒会を勝たせ、またその実力で他チームに黒星を塗り付けたのだろう。
初めからこのグループの三位までは決まっていたということだ。
恐ろしき生徒会の計略……!
……まあ、球技大会は所詮ただの学生主体の遊び。生徒会のやり方にドン引きする者はいても、異議を唱える程の情熱を持つ者はいないだろう。
……いや! いなかったら駄目だろう!
私は必ず八百長の証拠を見つけるぞ!
見ていろ、生徒会! 予選敗退の恨みは必ず『ここ』で果たす!
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