第一章
1-1
「お誕生日おめでとうございます、エリメラ嬢」
「ありがとうございまーーーっ!」
「どうしました?エリメラ嬢、大丈夫ですか?」
「え、ええ。大丈夫です。本日は私のためにお越し下さりありがとうございます、ジュリアス殿下。どうぞごゆっくりなさって下さいませ」
「ええ、では」
……たった今、私、エリメラ·アルバートは前世の記憶を思い出した。前世の私は普通の女子高生だった。
事故で亡くなり、気が付いたら転生していた。しかも、目の前に今立ち去って行った人を見るに、ここは私の大好きだった乙女ゲーム『光のきみと恋をする』の世界だ。
(異世界転生って本当にあるのね)
今日は私の十三歳の誕生日パーティーだった。先ほど私に会いに来たのはこの国の第一王子にして王太子のジュリアス·リュミエール。ゲームのメイン攻略対象だ。
…何故、私がこんなに落ち着いているのかと言うと、前世の私は転生モノの本をよく読んでいたからだ。本当にあるとは思わなかったが。
私は今日で十三歳。ゲーム開始は四年後だ。取り敢えず、今分かっている情報を整理しよう。
ここはリュミエール王国。大陸一の大国で友好国も多い。治安が良く、大きな貧富の差もない。
魔法があり、基本属性は土·風·水·火。プラス、珍しい光·闇がある。生まれ持った属性(適性魔法)は必ず一つだが、個人の魔力量によっては適性魔法以外も使えるようになったりする。
ただし、かなりの努力が必要で光と闇は生まれ持った人しか使えない。
魔力量は10段階に分けられていて、
2以下→少ない
3→普通
5→多い
8→膨大
10→莫大(過去に数人しかいなかった)。
15歳で魔力量と適性魔法の検査があり、検査以降練習を始める。15歳までに魔法を使うことは禁止されている。
17歳で完璧に魔法を操作出来るようになっていれば学園に入学可能。出来なかった場合は入学不可能。稀に優秀な平民が入学することもある。
…前世の私は魔法に憧れていた。私はこのまま行けば悪役令嬢である私は魔法学園卒業時には死亡することになる。死亡フラグは回避したいところだが、残念ながら回避出来る道はない。
どうせ死んでしまうのなら、私は憧れていた魔法を磨こうかしら?それとせめて必要以上に攻略対象と関わらないようにして少しでもマシなルートに行きたい。…うん、これでいきましょう。
今後の方針が決まった所で、まずは婚約からよね。王国唯一の公爵家の令嬢。それも王太子と同い年。
ゲームの私はジュリアス殿下に一目惚れして婚約を申し込んでいた。でも今の私は別に好きになっているわけでもないから……これに関しては大丈夫かしら?それから…
「…ラ。エリメラ!」
「はいっ!?」
「大丈夫か?ボーッとしていたが」
この方は私の一歳上のお兄様で、ルーカス·アルバート。もちろん攻略対象である。
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