第16話 お風呂

佐藤さんと一緒にブラブラと観光をし、別荘に戻ると岸本部長が料理をしていた。

「もうすぐ夜ご飯ができるよ。さあ、座って!」

岸本部長はそう僕たちに言った。


数分後、僕の目の前に美味しそうなハンバーグが運ばれてきた。

「美味しそう!」

そう僕が言うと岸本部長は

「でしょ〜」

と自信げに言った。


「ごちそうさまでした」

僕らが夜ご飯を食べ終えると、岸本部長が

「夜はいっぱい楽しみたいから先にお風呂に入ろう」

と言った。

「そうしましょう。男子と女子どっちから入りますか?」

と僕が言うと、佐藤さんが

「女子からでいいんじゃない?男子が入ったあとにお風呂に入るの嫌だし」

と言った。

「でも、私達が入ったあとの残り湯に入られるのも嫌じゃない?」

そう森崎さんが言ったので

「じゃあどうしたらいいんだよ」

と僕が言うと

「銭湯にでも行けば」

と言われた。


「じゃあ行ってらっしゃい」

結局、反論する間もなく僕たちは銭湯に行くことになった。

「なんで僕らがわざわざ銭湯に行かなきゃいけないんだよ」

と僕が言うと林田は

「前は一緒に入ってくれたのになんで今回はあとに入るだけでもだめなんだよ」

と言った。

今、一緒に入ったって言ったよな……

これは触れていいものなのか…

林田も自分が言ったことに気づいているようで気まずい空気が流れた。


その後一言も話さないまま銭湯についた。

そして服を脱ぎ終わった後、僕はこの空気をどうにかしようと、

「ここのお風呂大きいですね」

と言った。

「そうですね」

最初はなんだか初対面の人に話してるようだなと思いながら話していたが、帰る頃にはいつもの僕らに戻れたような気がした。

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