第5話 〝4〟

(木曜日)


 お姉ちゃんは顔を見せなかった。


 残りの時間を家族と共有しなかった。

 散らかった部屋で、ゲームのコントローラーを握ったまま死んでいた。

 ネットがない時代の誰とも繋がらない、一人で遊ぶパズルゲーム。


 ゴミだらけの部屋で、そのゲームをしながら、お姉ちゃんは何を思って死んだんだろう。


 お母さんは泣いていた。


 お姉ちゃんをベッドに寝かせ、散らかった部屋を片付けながら泣いていた。


 私はそれを手伝いながら、明日はお母さんだな、と思った。

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