第14話 次の任務
顎が痛い……腕も、脚も、関節技を決められてばかりでなにひとつできなかった。
ナハトはやっぱり運動神経が良くて、器用。
シャッテンは私と同じくらいボロボロだけど、永嶋司令の動きを食い入るように観察していた。
1階ミーティングルーム。
永嶋司令は書類とにらみ合いっこ。
「失礼します」
「あぁ、よし、早速次の任務が決まった。席についてくれ」
左にナハト、真ん中に私、右にシャッテン、いつもの並びで座る。
席に着くなり、ナハトが躊躇いもなく手を挙げた。
「司令、この前の任務で生存者ってどうなったんですか?」
永嶋司令は帽子の鍔を指先でいじりながら、唸っている。
なんだか難しそうな顔。
「司令?」
「あぁすまない。まだ、報告は来ていない。救急隊も安全エリアが拡大したばかりで走り回っている状況なんだ。ただ間違いなく我々APR殲滅チームのおかげだ」
いつも真っ直ぐ、強い瞳が、揺らいだ気がする。
永嶋司令、何か、隠してる?
聞いちゃいけないのかもしれない。
「他に質問はないな? 次の任務に移る。調査隊と同行し、東セキュリティ会社本社に突入する。社内は既に爆発で一部破損しているが、小型APRが生存者を襲っているという報告が入った。目標は生存者、救急隊のルートを確保すること、そして東セキュリティ会社開発部のデータ入手」
「調査隊が同行、ですか?」
もしかして、あの高圧的な城戸さんも一緒に来るってことかな。
「まぁ……なんだ、調査しやすいように内部にいる小型APRの殲滅をしてくれ」
ナハトとシャッテンの唇が不満を露わにしてる。
私も、ちょっと苦手だな、あの人。
「あと、調査の進展状況だが、脚部やカメラを破壊しても、AIが強いストレスを感知したら爆発は免れない。あのコアを引き抜くことができることが分かった。ただし、かなり慎重に抜かないと、AIが自爆する」
「司令官、コアを引き抜くのも殲滅チームがするのですか?」
「……いや、だが……ブリッツ」
言い淀んだあと、私のコードネームを呼ぶ。
「は、はい」
「コアの回収は、ブリッツに任せたい」
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