5話 ドレッサージュ大会
①
良き晴天に
馬の
「さあ、これでいい。男前じゃないか」
開催時間前の
「ありがとうございます……」
「私達は、保護者席から見守っているよ」
「
父と
「こんなに良くして
「未来の家族を、大事にしたいだけですよ。申し訳ないなんて、思わないでください」
「未来の、家族……」
シライヤは
彼が私達の家族になることを受け入れてくれて、本当に嬉しい。実感する
お
「おい、出場しないやつは、とっとと観客席へ行けよ」
観客席へ行けと言われたのは、私ではなく、シライヤだ。ピエール達は、シライヤが出場しないものと決めつけて話を続ける。
「自分の馬も持てないような男じゃ、乗り方も
「馬にも乗れないって、貴族の男としてありえないだろ」
「去年も、女どもと同じ席で、
口々にシライヤを
去年、私とシライヤは一年生。
初めての大会を、シライヤがどう過ごしていたのか覚えていないが、エディの
それどころか、数日前に我が家で乗馬を覚えたばかりの彼だ。学園の馬を借りることができたとしても、出場は無理だったのだろう。
何か言い返そうかとも考えたが、それよりももっと彼等を
「連れてきてくれてありがとう。こちらですわ」
ピエール達の後方から、学園の
シライヤのところへ来ると
「ノア、今日はよろしくな」
望まれるままひとしきり撫でてやった後、シライヤはまるで手慣れているように
》とノアに
「シライヤ、こちらのリボンを」
言いながら、上質な
いつからあるのか解らないが、女子生徒が
「シライヤ様! リボンをおわたしにまいりましたわ!」
「シライヤ様~! この日の
あの日シライヤの
エディなら全てのリボンを受け取るだろう。だが。
「シンシア、ありがとう。
シライヤは私の赤いリボンだけを受け取り、手首に巻き付けた。
「はい。勝利を
「では
言葉は悪意のないものだが、悪役
彼等を負かすのに、多くの言葉は必要ない。
*****
競技の広場には、
学園のドレッサージュ大会は、通常のものとは少し異なる大会だというので有名だ。
なんでも、かつて行われていたジャンピング(障害物を
るらしい。
ジャンピングが中止された原因は、落馬によって貴族の
結果的に通常のドレッサージュよりも難易度がかなり高くなった為、この大会で賞を取ると、貴族平民共に輝かしい功績となる。
他国からこの時期だけの留学生が
程なくして競技場の準備が整うと、
王族に対する
シライヤが王太子の覚えもめでたくなれば、今後の貴族社会でも少し生きやすくなる。
「頑張って、シライヤ、ノア」
生徒観客席に着き、祈るようにシライヤ達へ応援の言葉を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます