ヒロインに婚約者を取られるみたいなので、悪役令息(ヤンデレキャラ)を狙います
宝 小箱/ビーズログ文庫
1話 サクッと婚約解消
①
我が家は
そして数多くの打診から選ばれたのは、
夕焼けを思わせる色の
お
というのも、彼は成長する
ルドラン子爵家と親交のある者ならば、私達がそんなことをする家族ではないと
貴族家とは、社交パーティーやお茶会で上辺の交流をすませるだけ。
それも、経営が
多くの貴族からの婚約の申し出を
せめてエディが美少年に成長しなければ……。
いや、それは本人のせいではないので、文句は言うまい。しかしだ。
可哀想な人として扱われる現状に対して、彼がしっかりと否定すれば、でたらめな
「お可哀想に、エディ様……。お家の
「これでは、お金で買われたも同然だわ。こんなのって
「心配してくれてありがとう。僕は
学園の
のんびりとした性格が好ましかったエディは、その
自分へちやほやと群がる令嬢達を
相手の言葉を否定もせず、
簡単に言えば、
そんなエディでも、私は将来の夫として愛を
……昨日までは。
「あんな男に
薔薇の庭園を後にしながら、ポツリと
今朝起きた時、私はいきなり前世を思い出した。そして、この世界が、前世でプレイしていた
ゲームの世界へ転生なんて、そんなことがありえるのだろうか。しかしこうして実現してしまっている以上、受け入れるしかない。
私の役どころは、悪役令嬢の一人。
エディ・ドリスの
ゲームでは正しく、エディをお金で買った婚約者として悪役令嬢の限りを
私はただ、相手からの打診であった婚約を受け、
多少
顔がいいだけが
それよりも将来の夫として、領地経営の
そもそも、婚約者が悪く言われていても平気な顔をして、
「婚約の解消を進めて貰わないと……。
エディは決定的なミスを
婚約者として私をエスコートすることも、誕生日や祝いごとでカードやプレゼントを
婚約者としての交流も欠かしたことはないし、貴族令嬢にモテること自体は罪ではない。
噂を流しているのがエディでもなければ、彼が噂を肯定することを口にした訳でもない。
ただ、心配してくる令嬢へ、お礼の言葉を伝えているだけなのだ。
違約金の
時間と労力と金銭を消費するだけというのが解りきっていては、両親も
ず、ただ違約金を払って早々と終わらせ、私の新しい婚約者探しに時間を
「せめて、もう少し早く前世を思い出していれば……。婚約を結ぶ前だったら、絶対にエディは選ばなかったのに」
自分が悪役令嬢扱いをされると解っていれば、エディの婚約の打診なんて真っ先に送り返していただろうに。非常に
それとも、思い出せただけマシとでも思った方がいいのだろうか。
とにかく、一刻も早く悪役令嬢のポジションから
来たのね、ヒロイン。
例の恋愛ゲームは、ヒロインの顔が
甘そうな桃色の髪と瞳に、
ゲームの設定通り、下町で身寄りもなく暮らしていたが、たまたま助けた
ヒロインがどのルートを選ぶのかは知らないが、たとえどのルートを選んだとしても、私としてはありえないの一言に尽きる。攻略対象達には全て、ライバルとなる婚約者や
その令嬢が本当に悪役のような性格であったとしても、人の婚約者を横から
貴族としてだけではなく、人としても道理に反している。
前世ではたかがゲームと思って、そんなことは気にしていなかったが、この世界が現実に生きる世界となると話が違ってくる。と、そこまで考えて気づいた。
私が明日にもエディとの婚約を解消してあげれば、ヒロインはなんの
彼女がエディルートを選ぶとは限らないが、少なくとも、ルートの一つは健全なものにしてあげられる。
ゲームの世界に転生してしまったようだと気づいた今朝は、絶望にも近い取り乱し方をしてしまったが、少しでも自分や周りの
とはいえ、ヒロインはヒロインで勝手に人生を生きて欲しいので、私が特別に何か
ただ、自分の幸せの為に婚約を解消すると、結果的にヒロインが歩める道の一つを少し良くしてあげられるというだけの話。
彼女がエディを選ばず、他の攻略対象を選んだとしても、
さらば、ヒロイン。私は私の幸せを目指します。
と、心の中で決別を言いわたしたヒロインだったが、翌日になって顔を突き合わせることになってしまった。
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