第14話 これからの方針

 翌日、新たなゼルシア元領民達が来た。

 ルッカの様子を珍しく見渡す。

 本当にどうれもこれも見窄らしい身なり達である。


 1時間ほど、あゆみは我慢して待った。

 500人程。



「私が、新たな支配者、ザエンだ」

 元領民達の感情がない。



「今いるお前達の中で、領主と従属契約をした者がいるなら、前に出ろ」

 3人ほどが出てきた。

 3人に干し肉を与えて、帰させた。

 

 それを目撃した4人が、新たに名乗り出た。

 その者達にも干し肉を与えて、帰らせる。


「これから、支配者と従属契約を結ぼうと考える」

 元領民達から、どよめきがあがる。

「ザエン様、どうして従属契約を結ばれるのですか」

 初老の一人が尋ねた。


「近い内に、戦いが起こるからだ」

「相手は何処からです」


「相手は、今帰った者達含め、領主と従属契約をした者達だよ」

「そんなことありませんよ」

 別の男が言い張る。



「私の手下達とは従属契約を結んでいる。お前ら全員を殺せと命令すれば、躊躇なく惨殺する。試すか!」



「領主の命令で攻撃されたら、お前達が裏切る心配は大きい、今のうちに殺すかしないと、心配でね」 

「私達、そんなことはしません」

「ほう、顔見知りや親族達が殺しに来たら、お前達、どちらに味方する?」


「寝首をかくか」

「・・・・・・・」



「2ヶ月以内に、ソルラン国軍が攻め来る」

 あゆみは嬉しそうだ。

「勝てる見込みありません。死ねと」

 元領民達は非常に暗い表情をし出した。



「従属契約を結んだ者達には、絶対服従で、当分の間、後方の住宅に住まわせる」

「戦いに参加しなくても」

「ああ、顔見知り者達の死体はみたくないだろう。その代わり、死体処理には強制参加だ」



 昨日から準備させた手下達に、肉料理をさせた。

 徐々に肉の匂いが漂ってきた。

「食事の後で、一人一人。覚悟を聞く」



 あゆみはこの者達とは、従属契約で絶対服従させないと、安心がない。

 山賊らとは従属契約で絶対服従。

 女6人には自由意志。

 ルッカに住み着いた住民にも自由意志

で縛りしない。

 拘束すると、自由な発想が浮かばず、人それぞれの特技・能力がでない可能性があるとあゆみは考えた。


  

 ゼルシア領からの攻撃で、領土拡大の布石になるか。

 ソルラン国の領土をどれほどの速さで、拡充できるか。

 戦が起きれば、ユンド国は推移を気にしながら、方針の変更もあるだろう。

 いずれ、ユンド国から使節団が来る筈。


 どうしても地固めに迫られる。

 ゼルシア領館を接収して、新たな拠点にするか。


 そのため、ソルラン国中に、ルッカの非道な浸食、残酷な殺害の情報拡散に立たせてもらう。



「そろそろ、お前達の、覚悟を一人一人、聞く」






 



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