高スペックな彼女に寄生中の僕が気がついたら?!

リト

僕の彼女は超ハイスペックなんだけど……

「あのさ、リュウくん。今日の夕飯は何がいい?」


「え?あ、なんでもいいよ。君が作ってくれるなら」


「そう?じゃあ、ドラゴンのステーキとかどう?」


「は?ドラゴンのステーキ?」


「うん、ドラゴンのステーキ。今日、帰りにドラゴンを倒してきたから」


「……はぁ?」


僕は目を疑った。隣に座っているのは、僕の彼女であるミカサ・シドリーだ。自慢じゃないが、彼女は美人・金持ち・天才・最強……といった超超ハイスペックな人だ。彼女は世界最強のギルド「シドリー・ファミリー」のマスターであり、その影の実力者でもある。彼女は何でもできるし、何でも持っている。僕は彼女に比べたら、ただの平凡な学生だ。彼女と付き合っている理由も、よくわからない。彼女が言うには、「リュウくんは私の運命の人だから」だとか。「リュウくんは私の心の支えだから」だとか。「リュウくんは私の一番のパートナーだから」だとか。僕はそんなことを信じられないし、周りも信じられない。でも、彼女は本気でそう思っているらしい。だから、僕は彼女に愛されている。……いや、愛されすぎている。


「ミカサ、ドラゴンって、あのドラゴン?」


「そうよ、あのドラゴン。赤い鱗と黒い炎を吐く、あのドラゴン」


「あのドラゴンって、世界最強のモンスターで、一度も倒されたことがない、あのドラゴン?」


「そうよ、そういうドラゴン。でも、私には簡単だったわ。デコピン一発で倒せたもの」


「……はぁ?」


僕は呆れた。彼女はドラゴンをデコピンで倒せると言っている。そんなわけないだろ。ドラゴンは山のように大きくて、鉄のように硬くて、火のように熱い。そんなものをデコピンで倒せるなんて、ありえない。でも、彼女は本気でそう言っている。だから、僕は信じるしかない。……いや、信じたくない。


「ミカサ、それは嘘だろ。ドラゴンをデコピンで倒せるなんて、ありえないよ」


「嘘じゃないわ。本当のことよ。信じてくれないの?」


「信じられないよ。証拠はあるの?」


「あるわよ。これ見て」


彼女はスマホを取り出して、画面を見せた。そこには、ドラゴンの死体が写っていた。その頭には、小さな穴が開いていた。まるで、デコピンで突かれたように。


「……これは……」


「これが証拠よ。私がドラゴンを倒した証拠。これで信じてくれる?」


「……信じるよ。信じざるを得ないよ」


僕は呆然とした。彼女は本当にドラゴンをデコピンで倒したのだ。そんなことができるのは、彼女だけだ。彼女は世界最強の人だ。僕は彼女に敵わない。……いや、敵う必要はない。


「よかった。リュウくんが信じてくれて。私はリュウくんが大好きよ」


「ありがとう。ミカサ。僕も君が大好きだよ」


彼女は笑顔で僕にキスをした。僕はそれに応えた。彼女は僕の彼女だ。僕は彼女の彼氏だ。それだけでいい。それだけで幸せだ。……いや、それだけじゃない。


「ねえ、リュウくん。今日は何をしようか?」


「え?何をするって……」


「そうね。私はリュウくんと一緒にいたいから、何でもいいわ。でも、せっかくだから、何か面白いことをしようよ」


「面白いことって……」


「そうだ。例えば、世界の危機を救ったり、悪の組織を壊滅させたり、伝説の秘宝を探したり、異世界に行ったり……」


「……はぁ?」


僕は驚いた。彼女はそんなことを提案している。そんなことをできるのは、彼女だけだ。彼女は何でもできるし、何でも持っている。僕は彼女についていけない。……いや、ついていかないといけない。


「ミカサ、それは無理だよ。そんなことをするのは、危険だし、大変だし、面倒だし……」


「大丈夫よ。私がいるから。私が守ってあげるから。私が助けてあげるから。私が楽しませてあげるから」


「でも、僕は……」


「リュウくんは私に任せて。私はリュウくんのために何でもするから。私はリュウくんのために生きているから」


「……そうなの?」


「そうよ。だから、リュウくんも私のために何でもして。私のために一緒に来て。私のために笑って。私のために幸せになって」


「……わかったよ。ミカサ。僕は君のために何でもするよ」


彼女は嬉しそうに僕に抱きついた。僕はそれに応えた。彼女は僕の彼女だ。僕は彼女の彼氏だ。それだけでいい。それだけで幸せだ。……いや、それだけじゃない。


「じゃあ、さっそく行こうか。今日はどこに行こうかな」


「え?今日?今すぐ?」


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