第2章:材料①ナマケモノの爪の垢
第5話:ナマケモノの町
全知の森を抜け、ダミ子たちは森から西にある長い砂利道を歩いていた。
「砂利道って妙に体力奪われるんだよなぁ」
「一本道っていうのは迷う必要がなくていいんですけどね……」
ダミ子の発言にマースはうなずく。
道は馬車が通るのか若干舗装してあり、大きな石や尖った石などは無いが、それ以外の部分は手入れなせてなく道を両脇を囲む雑草は伸び放題だ。
「こんなんで世界が救われるのだろうか」
「もうその台詞七回目ですよダミ子さん」
誰それの爪の垢や涙などと記されているが、本当にこんなものの集まりで未知の病に対抗する治療薬が完成するのか。
「……完成させるしかなんいんだけどさ」
疑問は無理やり頭の片隅に追いやり材料集めモードに切り替える。
「とりあえず、まず何の材料から集めたらいいんでしょう?」
マースが聞く。
「一番手頃に入りそうなのはナマケモノの爪の垢だろう」
「やっぱりそうですよね。ドラゴンや魔女って響きに比べると一番穏やかそうですし」
「ていうかナマケモノってどこにいるんだ」
二人して頭上にクエスチョンマークを浮かべる。
爪の垢を採取するのは簡単でもナマケモノ本体がどこにいるのかわからない。
「山とか森とか?」
「木にぶら下がっているイメージですよね」
「だがあの動物泳ぐらしいぞ」
「川や海もあり……なんかいたるところにいる感じがしますよ」
「いっそ普通に町とかに住んでいてくれたらな」
「もう、そんなことあるわけないじゃないですか」
冗談まじりに言うダミ子とそれに呆れた様子で返すマースの目の前を一台の軽トラックが走っていった。
車にしてはゆっくりなスピードでガタゴトと細かい砂利にいちいち車体を上下に震わせている。
あまりにものんびりと通りすぎるそれにダミ子とマースは運転席を見ると二人は驚愕した。
ハンドルを握っていたのはナマケモノだった。
ナマケモノがトラックを運転していたのだ。
トラックはそのまま時速十キロくらいの速さで砂利道を走っていく。その先には看板があった。
よく目を凝らして見ると看板にはこう書いてあった。
『この先まっすぐ~ナマケモノの町~』
「……やっぱりナマケモノも町に住んでるじゃないか」
「……」
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