第5話:人違いだって。

呼んでもないのに目の前に来たメイドを見て客はびっくりしたような顔で

古都華を見あげた。


「あんたさ・・・テレビに出てた人でしょ?」

「婚活パーティーで知り合った女、殺した?」


男は目を丸くしていきなり立ち上がって古都華を突き飛ばして逃げようとした。


そのくらいで、ヒルむ古都華じゃない。

ゼルが覚醒してる間、古都華は素人の男くらいには負けないのだ。

そのうえアドレナリンとかセロトニンとかドーパミンが出まくってるので

超人になってるのだ。


逃げようとした客は後ろから古都華の回し蹴りを喰らって一発で床に気絶した。


もろパンツ丸見えだった。

隠さない子だね、古都華は・・・。


「おい、殺すなよ・・・」


「大丈夫だよ、手加減したから」


「手加減って・・・あいつが起きてる時のおまえは凶器みたいなもんだからな」


「それより今のうちに警察呼ぼう」


110番に通報すると、しばらくして巡査がふたりがやってきた。


「あ、おまわりさん、こいつですけど・・・なんかテレビに出てた犯人みたいで」


「それはご苦労様です」


おまわりさんは気絶してた男を叩き起こして意識が朦朧としてるそいつを

引き取って行った。


でもって、しばらくして派出所から電話があった。

礼でも言われるのかと思ったらば・・・。


「さっきのお客さんは人違いでしたよ」


って連絡があった、およよ。


俺と古都華はすぐに派出所に急いで行くと、まだその胡散臭い男がいて

よくよく調べたら間違いだと判明したと巡査が言った。


だったら、なんで逃げようとしたんだよ。

最近の若いやつの挙動は理解できん・・・そう言う俺も若いんだけど。


聞けばメイドさんがすごいニラんでたから、ビビって店から出ようと思ったらしい。

古都華のツンデレがよっぽど怖かったらしいな。


「まことに申し訳ありません」


俺と古都華は平謝りに謝った。

とりあえず客からは暴力で訴えられることはなくて胸をなでおろした。


「だいたいマッケンジーがいけないんだからね」


「え、今、普通に戻ってる?」


「戻ってるよ・・・普通に」


「悪かったな、間違いなくそうだって自信あったんだけどな」


「私、また暴力ふるっちゃったよ」


「すっげえ回し蹴りだったわ・・・パンツ丸見えだったけどな」


「スケベ・・・このパンツはテニス用のフリルつきのアンダースコートだよ、

だから見えてもいいの」

「それに短いスカートのほうがお客さんのウケがいいからね」

「私のパンツ目当てに来てくれる客がいるんだから、お給料あげて

もらわないと・・・」


「テニス用のパンツったって、パンツはパンツに変わりないだろ?」

「それに俺はプー太郎みたいなもんだから、金のことは親父に言ってくれ」


「あ、店、閉めてきたから、こんなとこで油売ってたらダメだろ」

「さあ、帰ろうぜ、古都華・・・」


古都華がいつ凶暴になって、いつ普通に戻るのか、まったく分からないって

のがマッケンジーにとっては今一番困ってることだった。


つづく。

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