今日からあなたは契約者です。

三奈木イヴ

第1話 本当に契約しますか?

──本当に契約するんですね?


ええ、お願いするわ。


──代償は理解してますね?


私が幸せの絶頂へ至った時に何かしらの代償を支払う。だったよね?


──その通りです。私との契約はそういう事になりますので。


そう…。代償は何を支払うの?


──それは、その時次第です。あなたの幸せや、あなたの大切な方の何か。はたまたあなた自身と様々です。

もしかしたらあなたは、もうこの世の住人では無くなるかもしれません。


わかった。じゃあ、始めて。


──契約成立です。これであなたの願いは叶う事でしょう。では、あなたの人生に幸多からんことを。


……これで私の目的は叶う。


* * *


はあ…。幸せ…か。


契約する時に幸せの絶頂へ至ったら回収するって言ってたけど…。今が幸せな訳無いじゃない…。


私が望んだのは…病の完治


本来なら、もう死んでるはずだったこの身。 第二の人生を得たようだった。


病気が治って、私がやりたくてもできなかった事をいっぱいした。


いろんな事をした。


一人で。


ただ一人で。


ずっと一人。


ひとりぼっちだ。


こんなのは幸せと言えるのだろうか。


私はわからない。


仮に幸せだと思っているのなら、いつ回収されてもおかしくないだろう。


それでも良い。


この虚無が終わるのなら…。


──はあ…。あなたは本当に幸せなのですか?


…!? なんでここに


──あまりにも見ていられなかったもので。

──今のままでは、代償を手に入れる事が出来ないので。


そう…。ごめんなさいね。


──私はあくまで契約をして、それを叶えて、契約者が幸せになった時、代償を貰う存在です。


──いつもの契約者の方々はすぐに幸せを掴むんですが。あなたは相当苦労しそうですね。


何が言いたいの?


──つまりはですね、私があなたを幸せにして代償を頂きます。


え?どういう事?


──ですから…ああもうまどろっこしい!!


だから、俺があなたを幸せにしてその代償を貰って帰るって言ってるんだよ!


その姿…


こっちでの姿です。普段の姿ですと言葉を交わしづらいので…。


そう。それで、これは契約の時にも聞いたけど、幸せになったら何かしらを奪われるって事なのよね?


そういう事です。あなたの病を治した代わりに、あなたの大切な人の命貰い受けるなどです。


私、そういう人居ないんだけど…。


これからの生活次第です。


私は、あなたを幸せにして、契約を完了させます。これからよろしくお願いしますね。


わかったわ。私の第二の人生、幸せに出来るもんならやってみなさい!


こうして一人と■■の共同生活が始まった。

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今日からあなたは契約者です。 三奈木イヴ @tumugyu

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