天才双子の転生録

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天才の死亡、そして序章

この世には、〝ギフテッド〟と呼ばれた限られた天才がいることをご存知だろうか。...うん。定番で言うならば『小学生ながらにフェルマーの最終定理を解いた。』や、『小学生でありながら相対性理論を理解した...』だとか。その人らは私ら一般人とは違い、年不相応の考え方をしている為、周りと馴染めず疎外感を感じることが多い。そして周りの人間も異物感を感じ、接しづらく、結果として孤独となる。この現象が日本では多い。いや...多かった、と言うべきか。何故多かったと言うべきなのか。それはとある天才双子がこの国の認識を変えたからである。



東京某所───。



「ねぇねぇ...あの人ってさ...」

「え!?マジじゃん...」

東京の公園にただ立っているだけで話題になってる人が1人...。それもそうだ。恵まれたビジュアル。そして何よりずっとニュースでその話題が流れているのだから。

誰かが言った、〝彼は神の子だ。〟そしてまた誰かが言った、〝人類最高傑作だ。〟なぜそう呼ばれるのか。彼は歴代最高のIQ450の超天才だからだ。


雲龍うんりゅう じん。年齢16歳。身長178.3cm。体重57.2kg。髪色は白髪、そして赤と紫のオッドアイと、日本人とはかけ離れた姿をしているが、純粋な日本人。なぜこの見た目をしているのかは現代の科学では解明できず、この症状は流石のじん本人も解明できなかった。


「ヤバ...超カッコイイ...」

「同じ人間には見えないくらいビジュいい...」

「あの人...じんさんだ...」

「すげぇリアルで初めて見た...」

(...普通にそこら辺歩いてるんだがな...)

16歳ながらに平日で大丈夫なのか?と聞かれるかもしれないが、彼は世界一の天才。特例により高校は飛び級をした。その為社会人として今はいる...が、とはいえ16歳。どうやら普通に遊びたいらしい。

(しかし遅いな...そら...大丈夫か?)

と、心配気味なじん


...そういえば、最初にも言ったが、天才双子なのだ。


「...ん」

(来たか...)

「はぁっはぁっ...」

片方が天才な訳ではなく、〝天才双子。〟

「ご、ごめんね...にぃ...ま、待たせちゃった?」

「いや、待ってないよそら

つまりこの双子は2人ともが天才と言う極めて稀な存在だ。

「よかった...!」


雲龍うんりゅう そら。年齢16。身長163.4cm。体重49.8kg。握力は秘密♡。髪色は白髪、じんとは左右対称で同じ色のオッドアイ。じんと同じで人とは思えない美貌を持っている。そして彼女も前述の通り天才であり、そらはスポーツにおいての天才と呼ばれている。全てのスポーツを世界レベルで出来、中でも陸上が得意で、そらが中学の時に出した50m以上の世界新は、未だに自分以外の誰にも破られておらず、今後確実に...いや、現在進行形で歴代最強のランナーと呼ばれている。


「や、やば...天神兄妹てんじんきょうだいだ...」

「あそこだけ別空間...?」

「美しすぎるだろ...」

などなど賛美の声がチラホラと聞こえるが、そんな声を無視しながら2人は買い物へと向かう。


「今日の夕飯何にしよっか」

「んー...そーだなぁ」

食材を見ながら考えるそら。玉ねぎを手にし、

「ハンバーグ!」

じぶんの顔の前に出した後

「なんてどう?」

(可愛い...!!)

玉ねぎからひょこっと。まるでひょっこり...いやなんでもない。

「そうだな...ハンバーグにしようか」

天才だからと言って、人と大きく変わっている訳では無い。その為、偏見無く見れば仲の良い双子なのだ...。


「ねぇねぇにぃ?」

レジに並んでいる最中、そらじんに話しかける。

「ん?どうした?そら

「にぃってさ異世界って信じたりするの?」

純粋に超絶頭がいい人は異世界というファンタジーを信じるのか...とそらじんに質問を投げかける。

「異世界か...」

「そ、そんなに考えなくていいんだよ?」

「いや...確かにあった方が面白いと思うぞ?」

「え...っと?」

予想外の答えに困惑するそら

まぁじんは頭は全く固くない。なんなら超絶柔軟な考え方をする人間だ。更に受け入れ型の為、新しい物は全て受け入れる。


「異世界。つまりパラレルワールドの類があるのなら、そりゃ学者としては気になるに決まってる。もちろん行ってみたいしな」

「なるほど...?」

(マズい、そらが理解出来ていない...もうちょっと噛み砕くか...)

「俺は、現代の科学や数式では解明出来ないものを解明するのが好きなんだ...だからあって欲しいとは思うかもな」

「なるほど!!」

(お、理解出来たか...?)

「つまりどゆこと?」

(Oh...そらよ...いつもの如く...)

「つまり、異世界の存在は信じてるよ」

優しい笑顔で答えるじん

「ほー!!そうなの!!嬉しい!私も同じ考えだった!」

あ、そういえば言うのを忘れていたが...

(やばー!!にぃと同じ考えだ〜!!)

「そうなのか...!それは良かった!」

そらと意思疎通が出来てる...!!)

この双子、お互いがお互いの事を大好きなシスコンブラコンの相思相愛双子なのだ。

(好きだ...そら...)

(好き...にぃ...)


「もう買う物無いよな?」

「うん!全部買ったよ!」

2人は買い物を済ませ、デパートから出ようとした瞬間。刀を持った男がそらに目掛け刀を刺そうとする。

「ふんっ...!!」

「っ!!危ない!そら!!」

その瞬間。じんそらの前に出て来て、庇う。

「はっ...!!にぃ!!」

が...

「に、にぃ...」

「そ、そら...ごめん...な...守れなかった...」

日本刀だった為庇っても意味が無いことになってしまった...


「何が天才だ...!何が人間離れしてる。だ...!ちゃんと人間じゃねぇか...!!」

刺した相手はすぐさまに警察に捕まり、即座に救急車に運ばれる2人。


「───生きてください!!じんさん!!お願いします!!」

(声がぼんやりと聞こえる...そらは...生きているだろうか...それとも...いや...そんなことは考えるな...だがこの血の量...現代の医学では治せないな...例え世界トップの医療技術があったとしても...嗚呼...視界が...暗く...もう意識が...最期までずっとそらと一緒が良かったな...)


「───そらさん!!気をしっかり!!お願いします!!生きてください!」

(にぃ...生きてるかな...私を庇ったのに...ナイフだったらまだ生きてたかもだけど...日本刀じゃ流石に...無理かも...視界が...ぼやけて...私...ここで死ぬんだな...嫌だな...死ぬ時もにぃと一緒がいい...)



転生準備────。



2人を同じ場所。そして2人の服を正装時の服にします。ステータスの振りは、前世のを残しつつ転生先に合わせた振り方をします。そして能力は前世のものを引き継ぎます────。


(な...なんだ...この声...と言うかそらは大丈夫なのか?)

(何...この声...頭の中で響いて...うるさい...にぃ...大丈夫かな...)


転生準備完了致しました────。


これより2人の転生を開始致します────。


(転生を開始...?)

(えっ?な、何!?)


3────


(おそらく俺は死んだ...だが意識の中では生きている...そして転生と考えると...これは異世界転生...というものか?)

(ヤバいヤバいヤバい!!!)


2────


(と考えると、やはり異世界は存在するのか...それはそうか宇宙はとてつもなく広い。地球に似た環境の星だって、可能性で言えば無くはない。)

(なななななな、何が起こるの!?)


1────


(となると、次、すべき事は異世界での時間関係が気になるところだ...死ぬ直前の時間は2062年10月31日の17時29分。ただこれは日本の時間...異世界で通じる可能性があるとは限らないが...)

(こ、怖い!!にぃ!!助け───)


0────。


「ヒャッ...」

(そして言語の壁もある...異世界なのであれば、もしかしたらファンタジー系統の種族もいる...果たしてそこがどうなるかだが...って...ん?)

自分と同じ速度で落ちていく人を見つけるじん

「あれは...そら?!」

落ちていたのは自身の妹、そらだった。


「ビャァアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

(急降下の中だとまともに声が通らないからな...まずはそらの方へ向かわなければ...)

重心をそらの方向に寄せ、徐々に近づいていく。

「助けてぇぇぇえええ!!!!!!」

そら!!」

「はっ!!にぃ!!」

2人は急降下の中ぎゅっとハグをした。そして2人は抱きついたまま話を始める。


そら、落ち着いて聞いてくれ」

「な、何...?にぃ」

「十中八九ここは異世界だ」

「えぇっ!?」

「あ、唐突に異世界なんて言うから変な声が出ちゃった...」

「すまん」

「だが実際、見たこともない地形をしているし、あの植物も地球で見た事がない。」

(あの遠くに見える国のような所も、外壁がヨーロッパみたいだが街並みがヨーロッパっぽくないしな...)

「ま、マジィ?!」

「あぁ、大マジだ。そして今俺たちは急降下をしているな?」

「あ、うん...そうだね...」

「普通に行ったらこのまま死ぬが...」

「な、何かあるの?」

「おそらくスキル的な奴が何かあるはずだ。この世界に召喚される前、謎の声が言っていた。能力も前世のものを引き継ぐと」

「た、確かに言ってたような...」

(あ、あんまり覚えてないや...)

と眉をしかめるそら

「前世、つまり日本での俺達のことだ」

「う、うん」

「という事はだ、そらは運動神経がとてつもなく良い。だから、もしかしたら、そらの力なら俺たちはこの状況でも助かるかもしれない」

じんは提案をする。

「な、なるほど!!」

「1回、地面に向かってエアパンチかなんかしてくれないか?」

「わ、分かった!」

(エアパンチ...つまり空振りのパンチってことだよね?誰にも当たることないから本気でいいよね!)

「しっかり掴まっといてね!にぃ!!」

「あぁ...っ!」

じんそらを強く抱きしめる。

「エアーパーンチ!!!!」

そらが変な技名(?)を叫びながら空気を殴った瞬間。強烈なダウンバーストが発生した。そしてじんたちは無事死なずに着陸できた。


「ふぅ...なんとかギリ間に合ったか...」

(あともうちょっとで弾けるところだった...)

「凄い!!あんなの咄嗟に出来るなんて!」

「褒めてくれてありがとう...そら

「えへへ」

「だが...次は人を探さなければな」

「...人?」

「あぁ、この世界の情報を知らなければならない」

(ついでに言語も気になるしな)

「そ、そっか!!」

(私たち、転生してきたから情報ないのか!)

「とりあえずこっちに行こう」

「えっ?う、うん...」

「なんで街の方向がわかるの...?にぃ」

「急降下中に近くの街がどこにあるのか探してたんだ」

「そ、そこまで!!流石にぃ!凄い!」

(そこまで褒められると嬉しいな...)


数時間後────。


「つ、疲れた...」

「おんぶするよ?にぃ」

「た、頼む...そら

そらの背中に乗っかかる。

(相変わらず細い体だ...こんなに細いのに力は俺より強い...なんならそこら辺の鍛えてる人より強い...なんなんだこれは...)

「にぃ、体力は人並みだから私に任せといて!」

「あぁ、ありがとう。そら

数十分後、遂に大道路に出た。


「...どうやらここはこの世界の国道的な物っぽいな」

「そうだね〜」

微かに笑われているのを感じる。

(そんなに女性におんぶされてる男性が面白いかってんだ...)

「もうそろそろ着く頃なんじゃないか...?」

「あ、うん!あそこだよ!にぃ!」

「あぁ、門だな...!」

(だがその前には...検問だな。今がいつか分からないが、街の前の門で検問がされているとなると...時代的には結構前になるか...?ただ今の時代でも検問はするし...これだけでは分からないな...だが、車が見当たらない点を見ると...地球基準の技術で1770年以前...か?いやこの世界が魔法が使える世界なら、もしかしたら車が要らないという可能性も...)


「にぃ...どうしたの?」

ずっと考え事をしていた為、そらに心配されてしまう。

「あぁ...ごめんなそら。」

(あまり長いこと考え事をしないと昔、そらに言ったじゃねぇか...何してんだ...俺)

「とりあえず、ここからは歩けるよそら

「そう?わかった!」

おんぶから下ろしてもらい。2人で街に向かう。


(さて...どうしたものか...検問という事はおそらく、何か許可証のようなものが必要なはずだ...)

「とりあえず並ぶ?」

「ん?ああ、並んでおこうか」

長い列で1番後ろへと並ぶ。

(いやしかしすごいなこの世界...待機列が綺麗だ...日本みたいだな)

待機列の綺麗さに感心するじん

「なんで検問なんかあるのかなぁ...ちょちめんどくさーい」

そらは萎える。が、そのそらに対してじんは検問する理由を教える。

「検問ってのは基本的に治安維持の為に行われてるから仕方ないことだよ。」

「分かってるけどさ〜」

なんて話しているとモンスターが現れてしまう。


「な、何あれ!!」

列に並んでいた皆が騒ぎ始め、皆各々その場から離れ始める。

「あれは...」

(おそらくモンスターと呼ばれる存在か...ゲーム等でチラッと見た事がある...ただ何のモンスターか弱点が何なのかが分からない以上...無闇に攻撃は...)

なんて考えているとモンスターがこっちに全速力で来る。

「ね、ねぇ!にぃ!近づいて来るよ!!」

「ま、マズいな...」

「うぅっ...」

「えっ!?子供!?」

「くっ!!」

声がする方向を見ると、そこには子供の姿が。だが、親の姿が見えない。

(子供...?ってかマズいな...あいつあの子を狙って...)

そら!!」

「もう向かってるよ!にぃ!!」

流石双子と言ったところか、2人は同じことを考えていたようだ。子供を助けるということを。


「お、おいあの女の子...大丈夫なのか?子供を守るようにして...助かるのか?」

「あのモンスター...確か...」

周囲がガヤガヤしている。


(考えろ...この場での最適解を...ってこれは...)

その場に落ちていたものを広い、そらに渡す

そら!!」

「おっ...?っし!!おっけーい!」

しっかり受け取るそら

「シューート!!」

そらじんから貰ったものをモンスターに目掛けてデコピンで弾いて弾丸のように吹き飛ばす。

「...ガゥッ!?」

デコピンしただけのはずが、弾丸の挙動をしてしまった物体はモンスターを貫通し無事モンスターは倒れた。

「へへっ!ありがと!にぃ!」

「あぁ、なんとか助かったな」

「す、すげぇ...あの子達」

「まだ俺たちより若く見えるけど...」

周りが2人の事を話し始める。

「ところで、なんで鉄の塊を私に渡したの?」

「おそらく、あいつは何も属性がないと思ってな。じゃなければこっちに近づいてこないしな...なのであれば銃に近いものなら余裕で倒せるだろうと考えてあれを渡したんだ。」

「ほぇ〜...」

「あ、ありがとうお姉ちゃん...お兄ちゃん...」

「ううん。良いってことよ!」

「ところで君、親御さんはどうしたの?」

(さっきから気になっていた...もしかしたらこの子は...)

「お母さんとお父さんは...」

と俯いてしまう...。

「...いないのか」

子供は静かに頷く。

「どうする?にぃ」

「そうだなぁ...」

(この世界には養護施設的なのがないっぽいな...だがこの子だけでは確実に生活できないだろう...なら...)

「やっぱりそうする?」

「あぁ...」


「私たちと一緒に来る?」

「俺たちと一緒に来るか?」


「えっ...?」

(俺達も親とは会ったことがない...昔から国の支援だけで生きていた...親がいないという境遇は似てるからな...せめてこの子と一緒に居てあげたい...)

「ほ、ほんとにいいのですか!?」

「うん!勿論だよ!」

「親になる。とまでは行かないが...俺たちは君の支えになりたい」

「う、うん!!」

(...この世界、奴隷制度もあるようだしな...検問で並んでいた人の中に奴隷のような子が何人かいた...おそらくこの子は奴隷になろうとしていたのかもしれない...子供では稼ぎに限界があるからな...)


「い、一体なんの騒ぎだ...!」

と門の中から兵士と共に出てきた。

「フィルロッテ伯爵...!!」


(伯爵か...どうやら偉い人が現れたようだな...)

「なんとか一件落着だねっ!にぃ!」

「そうだな」

「...あ、そうだ。ところで君...名前は?」

「えと...名前は無いんです...」

(そうなのか...いや...そりゃそうか...生まれた時から親がいない。と考えると妥当だ...)

「なら、名前決めよ!」

「そうだな」

「じゃあテイでどうだ?」

「...テイ??」

「テイ...テイ...!!」

「な、なんでテイ...?」

小声でそらは聞いてくる。

「いやだって俺らの名前、神って書いてじん。天って書いてそらなら似たような名前の方がいいだろ?」

「いやぁ...それはわかるけど何でテイ?」

みかどのテイだよ」

そうじんが話した瞬間。

「!!」

パァアアアッと目をかっぴらき、そしてキラキラと輝かせるそら

「そういうこと!!流石にぃ!!」

バシンバシンと叩かれるじん。まぁ本気なわけないので痛くない。

(あ、そうだ。これだけは聞いておかなければ...)

「なぁ、テイ。」

「は、はい!なんでしょうか」

「性別はどっちなんだ?」

「テイの性別は女です...!」

「えー!!女の子なのー!!」

そらは大喜びをし、テイに抱きつく。

(なるべく知っておかないと後で大変なことになるからな...)


「貴殿ら」

「っ!!」

「は、はい!?な、なんでしょう!!」

「どうかなさいましたか。伯爵様」

といち早く跪くじん

「頭を下げんで良い...下げるのはこちらの方だ...」


「フィルロッテ伯爵!?」

「えっ...」

「っ...!?」

「嘘...だろ」

「伯爵が頭を下げた...」

(周りが騒ぎ始めている...当たり前だ...伯爵が頭を下げるだなんて...)


「な、なんで伯爵が頭を...」

「そ、そうですよ!お偉い方ですよね!?」

と2人は困惑する。

「あのモンスターには昔から迷惑をかけられてばかりでな...だがここら辺には冒険者や剣士などが少なく倒そうにも倒せなくてな...だが貴殿らがそのモンスターを倒してくれただろう...?だから感謝しているまで...」

「そ、そんな...」

「お礼として、是非とも我が屋敷に来てくれないか?」

「えっと...どうする?2人とも」

「テイは、お2人に着いていきますよ!」

(このまま断るのも申し訳ない。それに断ったとして検問を通れるとも限らない...。後、テイにお風呂浴びさせ、普通の服も着させたいしな...ここは厚意に甘えて)

「分かりました。では私、じんと妹のそら。テイも一緒で構いませんか?」

「あぁ...良かった...本当にありがとう...じん様...」


街をフィルロッテ伯爵と一緒に3人は歩いていると

「フィルロッテ伯爵ー!」

と民から手を振られ挨拶されている。それに対し伯爵も小さく手を振って返している。

(民から愛されているのか...信頼出来るまともな伯爵で良かった...)

「す、凄いね...伯爵様人気者じゃん...」

「確かにそうですな...わたくし達は街のために動いていただけに過ぎないのに...」

「街のために動くの凄い!!」

「そ、そうですよ!!」

そらとテイ似てる...超可愛い)

など思っていると

「着きましたよ」

「ここがわたくしの屋敷です。」


「で...」

「うわぁ...」

「でかーーい!!」

(ヨーロッパの建築に近いが...だが要所要所でヨーロッパの建築らしくない...この世界独自の建築法か...)

「ではどうぞお入りください」

「お邪魔致します」

じんがそういうと

「お、お邪魔致します...?」

「お、お邪魔致します...!」

2人とも真似をする。

(真似っ子可愛すぎ...死ねる)

2人の可愛さに食らうじん

「ところで伯爵様」

「フィルロッテで宜しいですよ」

「ではフィルロッテさん」

「なんでございましょうか」

「子供用の動きやすいけどちょっとオシャレな服ってないですか?」

「子供用の服ですか...少々お待ちください」

とフィルロッテ伯爵は離れていく。


「も、もしかしてテイの服だったりしますか...?」

おずおずとテイは聞いてくる。

「うん。そうだよ?」

俺はテイに対し優しい笑顔で答える。

「な...テ、テイにそこまでして頂けるなんて...」

「当たり前でしょ!」

「だって私たち家族じゃん!」

「...っ」

そらの言った通り俺たちは家族だ。)


「ってかやっぱりにぃの表情って、普通の人より動かないよね」

「...しょうがないだろう」

(普通の人より動かない...ってなんならほとんど動いてない気がする...)

テイは心の中で思う。


「お待たせしました」

とフィルロッテ伯爵が帰ってくる。

「こちらでどうでしょうか」

「伸縮自在でほんのり可愛い女の子用の服でございますが...」

「可愛い!!普通に私も着てみたいかも!」

「これでいい?テイ」

「は、はい...!!」

(2人が選んだものならなんでも良いです...!)

「もっと欲を言っていいんだぞ?」

「...えっ?」

「そうだよ!テイ!」

「テ、テイは...」

「お2人が選んだのでしたら何でも嬉しいです...!」

と満面の笑みで答える。

(グッ...ダメだ可愛すぎる...)

(テイちゃん...!!いい子過ぎ!!可愛い!好き!)

2人はテイに心を鷲掴まれた。

「女の子用の服全部くれたりできませんかね」

じんは真剣な眼差しでフィルロッテ伯爵に問う。

「お願いします。フィルロッテ伯爵さん。全部下さい。」

そらも同じ顔でフィルロッテ伯爵様に言う。

「そ、そんな...良いですよ!」

と遠慮するテイ。すると

「勿論です!あなた方は街を救ってくれた人ですので、全てあげますよ」

「やったー!!」

(ん?思ったけど...冷静に考えてどうやって外に持っていくんだ?例えば国に行くとする...街を出なければならないが...全部となると服の量は...)


「服を全部持ってきました」

「多!?」

「凄い量...」

「こ、こんだけの量どうやって持っていけば...」

と呟くと、フィルロッテ伯爵は

「そう言うと思いまして、こちらの魔道具をどうぞ」

「えっ?」

(なんだこれ...)

「こちらは、亜空間を利用し物を収納出来る魔道具で、ポジットと言いまして、遠出に行く人や冒険者様はほとんど持っております」

「はぇ〜!凄!」

(こんな便利なものがあるのか...すごいな異世界は...作った人に話し聞きたいが...生きてるかわからんな...)

「このポジットに全て入れておきますね」

「何から何までありがとうございます。フィルロッテさん」

「いえいえ!わたくし達の恩はこの程度ではまだ返しきれていませんよ」


(じゃあ...)

「とりあえず、お風呂を借りても良いですかね...?」

「良いですとも!」

「まぁたしかに女性はお風呂に入らないとな...」

(気持ち悪くて耐えられない人もいるしな...)

「でしょ?」

「だから一緒に入ろ!テイ!」

「えっ?あ...はい!」

「ところでお風呂場はどこですか!?」

「お風呂場は右の通路に行って、手前から4番目のドアにございますよ」

「ありがとう!!」

「行こ!テイ!」

2人は手を繋いで全速力でお風呂場へと向かう。


(それにしても不思議だ...言葉が通じるとはな...もしかしたら日本語と近いのか?それとも...俺たちが日本語を忘れたのか...?)

(何にせよ...異世界転生してしまったんだ...この世界を旅し情報を知らなければな...)



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