第4話

一夜明け、俺はスマホを見た。

そしたら、えげつないほどの通知が来ていた。

"フォロー通知:250万件"

その一文字を見ただけで、頭がおかしくなりそうだった。

あの後、俺が寝てる間にもっと話題になったらしい。

人気になれたのは嬉しいが、自分が思い描いてたのは徐々に人気になる感じだった。

少し違う感じはするけど、人気になれたならいいや。


そして、俺が学校へ向かうと、多くの人だかりができていた。

「もしかして、Xランクの人ですか?!」

「サインください!」

「今まで隠していたのは何か理由があるのでしょうか?」

学校の生徒だけではなく、記者などもたくさん来ていた。

ここで俺は、初めて事の重大さがわかった。


俺って、実はとんでもない人だったんだ。

こんなにも、人を動かす存在だったんだ。

一年間ずっと配信をやってきて、何も報われなかった。

だけど、ようやく報われた気がしてとても胸がいっぱいになった。

だけど、全員に返答するのは無理だから「SNSですべて答えるのでお願いします!」と言い、いそいそと教室へ入った。


教室でも、いろいろ質問攻めされた。

「三藤って、世界一位だったんだ!」

「連絡先交換しよう!」

「俺とコラボしてくんない?俺も配信やってるんだ!」

「俺たちの中だろ?」

「力也くん、カラオケ行こ!」


うーん、やっぱりこうなるか。

いつもは修途のところに群がってるくせに、俺が有名なことを聞くとすぐに俺のほうによって来る。

そもそも、力也君ってなんだよ。三藤って呼ばれてるし、そもそも半分以上が俺のことねクラ君って呼んでたじゃん。はぁ、きついなぁ。

俺はすべての声掛けを無視したが、一つだけ無視できないものがあった。


「おい、どんな卑怯な手を使ったんだよ雑魚配信者」

修途だ。

「修途、三藤様になんてこと言うんだ」

「サイテー。ま、80万人なんて力也君に比べたら少しでしょ?」

みんなが俺のことをかばってくる。

なんだよ。前までは俺が馬鹿にされたら無視か一緒になって攻撃するだけだったのに。

修途もさすがに怒って、

「何だよお前ら。この根暗やろうが人気になったとたんこれかよ。はーつまんね」

と言って逃げてった。


「力也君、あんな奴の言うことなんて聞かなくていいからね!」

「あんなの無視だよ!」

いや、お前らのほうを無視したいんだが。


すると、琉弥が学校に来た。

「お、琉弥。」

「力也、お前すごいことになってるな。」

「まあね。なんか俺ってすごかったらしい」

「すごかったどころじゃねえよ、世界一位だぞ?さすがに自覚もてよ」

「でもなぁ。いつも通り配信はするよ。立場が上がっても態度は変えないし。」

「やっぱ力也だな」

「そういうお前もいい奴だよ」


人気になっても、人気じゃなくても変わらず接してくれる琉弥こそが、本当の友達だろう。

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モチベがマジでない

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