@kOkUhAQ

夜空に消える嘘と煙と私

夜風に靡くカーテンの向こう側で煙草を吸う彼の後ろ姿を眺めてた。

「今夜会える?」

その一言に今日も結局流されて、彼の家に来てしまった。付き合ってる訳でもないのに。

彼は私に何度も愛の言葉を伝える。

「好き」「愛してる」「可愛いよ」

これらの言葉が彼の口から零れるのは、決まってセックスをしている時だけ。

セックスをしていないと、彼は私を見てくれない。

彼は口から煙を吐くように、私に嘘を吐く。

わかってる。都合のいい女だって。

ただ、もう少し。

起こるはずのない展開に期待して私は今日も彼の腕の中で、彼の吐く言葉と煙に踊らされている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

@kOkUhAQ

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る