琢磨の卓球

@tarakiti

第1球目 切磋琢磨

『切磋琢磨』


卓球場に入ると大きく掲げてあった。


「俺と同じ名前だ」


「そうだよ。君と同じ琢磨。せっさたくまだね」

副顧問の山下先生が後ろから教えてくれた。


「どういう意味なんですか?」

幼馴染の高林哲人が聞く。


「仲間同士で互いに励ましあって向上することだよ。まぁだから皆んなで強くなろうってことだね!」


「そんなんですね。でも俺は卓球部に入る予定はなく、今日は友達の哲人に誘われて無理やり来ただけです‥」


「まずはやってみてから決めるのでも遅くはないんじゃない?今はまだ誰も来ていないし、まずは遊びのつもりで打ってみよっか!」


おもむろに先生が上着とズボンを脱ぎ始める


2人は顔を合わせて「えっ」て顔になってしまった。


「中にユニフォーム着てるから大丈夫だよ!ユニフォームで打った方が雰囲気でるかなと思って!」


中学1年生になったばかりの2人には少し刺激が強かったようだ。


半ば強引に打つことになり琢磨はラケットを借りる。


打ってみると自分が思っているよりもラリーを続けることができた。

何より楽しかった。


「上手、上手!」

先生が大袈裟でわざとっぽいリアクションでも喜んでくれるのが嬉しい。


この日は2人とも先生と打った後、帰宅することに。


「琢磨はやっぱり卓球部に入るべきだよ!」

帰宅途中で哲人が嬉しそうに言う。


「俺には野球部に入らなきゃならない理由があるから卓球部には入れない。だからごめん、せっかく誘ってくれたのに。」


「僕にはそんなに野球が好きには見えないけどな。まだ正式な部活の応募まで時間があるからそれまでじっくりと考えてみたらいいんじゃないかな。」


帰宅後、父が出迎える


「もう野球部の練習には行ったか?」


ドキッとした


「琢磨は小学校では背が小さかったからベンチだったけど中学に入って背が大きくなったら活躍できるから頑張れよ」


「わかってるよ、がんばるよ」

少し面倒そうに返事をする

流石に卓球部の体験入部に行ったなんて言える雰囲気ではない。

父の高校になったら甲子園を目指せという想いが重く感じる。














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