ゴミ漁り

探耽(たんたん)

 僕はただの会社員、取り柄は無く面白みに欠けた人間だ。でもね、孤独で程々に自由な生活を謳歌おうかできていて安らぎを感じてはいるんだ。暮らし向きは贅沢をしたり趣味に熱中するということは特に無いけれど、休日には散歩や昼寝をすることが多いかな。昔はあまり夢を見なかったのだけど、最近は目が覚めても脳裏に不思議な情景が残るんだ。夜の眠りより昼寝のほうが夢を見ることが多いとわかってからは、そのための時間を作るくらいになったよ。何と言ったら良いのかな、夢の内容は別の世界の自分を見ることが多い…のだと思う。夢の中の僕は全く違った世界で全く違った生活をしているんだ。楽している僕、苦しんでいる僕、色々見てきた。でも最近は同じ僕を見ることが増えた気がする。その僕はどうも無感情で、生きるためにひたすら徘徊しているんだ。他に誰もいない世界で。


「…きろ、起きろ、休憩時間を過ぎているぞ」


会社での休憩時間に転寝うたたねをしてしまい上司が起こしてくれた。夢では他の僕の気配を感じ始めていたので惜しいが、今日は休日ではないし会議が控えているので上司には感謝だ。そして今日は金曜日、この一日を無事に乗り切れば明日から2日間は昼寝三昧。さぁ、適当に会議の準備をしますか。


 会議は終わった。適当な感じに、無難な感じにね。気張って面倒な仕事を増やしたくはないからね。ところでこの文章を読んでいる人…いるのかな?まぁ、いなくても良いのだけれど、これは第一に僕自身のために書いているんだからね。たぶん僕は結婚しないし親にもならない…孤独に生きて人知れず死んでいく、そんな気がするんだ。うぅん?気がするというよりもっと強い何か、確信を持っているんだ。というのも、僕は誰とも一緒に暮らしたくないし、静かに余生を過ごしたい。はは、まだ28歳なのにねぇ。この若さで老成してしまうほどの苦労もしていないのだけれど、生き甲斐というかそういう目標みたいなものや欲求が社会に出て間もなく失せてしまったのでね。この気持ち、わかってもらえるかな?わかるようだったら僕と同じ轍を踏まないでくれよ、一度病院で診てもらってくれ。これを読んでいる君が誰だか知るよしもないが、こんなくだらない雑記に付き合ってくれている心優しい人間には真っ当な幸せのために生きてもらいたいと願っているからね。もしくは暇つぶしに手に取ってくれているようであれば、それはそれで奇特きとくな君の幸せを願わせてもらうよ。この雑記は誰にも知られず惨めに死んでいくであろう僕へのとむらいなんだ。「こんにちは!僕はここにいたよ!」と心の底から伝えたい。


僕自身とどういうわけか気が付いてくれた君のために。


さぁ、金曜日も終盤だ。今は一人ぼっちだけれど、君が読んでくれている時点では僕は孤独じゃないぞ。この出会いを祝おう、何か好きな飲み物を用意してくれ。乾杯!

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